2007 Fiscal Year Annual Research Report
原始太陽系を形成した炭素質物質と鉱物の解明を目指して
Project/Area Number |
17340157
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
野口 高明 Ibaraki University, 理学部, 准教授 (40222195)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 智樹 九州大学, 理学研究院, 准教授 (20260721)
木村 眞 茨城大学, 理学部, 教授 (20142226)
|
Keywords | 微隕石 / 表層雪 / 氷床 / 南極 / TEM / 放射光X線回折 |
Research Abstract |
昨年度、南極のとっつき岬周辺の裸氷帯の氷から得られた約3500個の微限石から、エンスタタイトホイスカとGEMS(Glass with embedded metal and sulfide)を含む微隕石をひとつ発見した。今年度は、さらに2個のエンスタタイトホイスカとGEMSを含む微隕石を発見することができた。うちひとつは、昨年度ドイツでTOF-SIMS分析を行った微隕石である。この微隕石はCIコンドライトの元素存在度から非常に外れていたので、昨年度は非常に強い風化を受けたものと予想していた。今年度この微隕石の詳細なTEM観察を行ったところ、GEMSが含まれていること、エンスタタイトホイスカを見出した。この微隕石の大部分を占めるMgに乏しい物質中には、20nm以下の微結晶からなる大きさ数百μmの集合体がかなり含まれていた。それらはMgとFeに富み、少量のCaとMnを含む酸化物であった。その組織と化学組成は、これらの集合体がもともとMgとFeに富む炭酸塩鉱物であったことを示唆している。そして、大気圏突入時に400℃以上の加熱を受けてDecarbonationを起こしたものだと推定される。これら集合体以外のMgに乏しい部分には、繊維状の構造が見られた。それらの電子線回折パターンはマグネタイトであることを示している。このことは、繊維状の構造がフェリハイドライトあるいは鉄に富む層状珪酸塩が脱水再結晶したものであることを示唆している。これらのことから、太陽系には、GEMSとエンスタタイトホイスカを含む物質で水質変成作用を強く受けた物質が存在することを示している。このようにGEMSとエンスタタイトホイスカを含む、現代の無水惑星間塵と同様な物質だけでなく、多孔質無水微隕石を調べることで、無水惑星間塵よりもより多様な鉱物学的特徴を持つ、非常に始原的な太陽系物質を研究できることが明らかになった。
|
Research Products
(7 results)