2005 Fiscal Year Annual Research Report
地球表層で形成される無機高分子の構造とその組織の解明
Project/Area Number |
17340160
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小暮 敏博 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (50282728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 皓彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (70001865)
鈴木 正哉 独立行政法人産業技術総合研究所, 深部地質環境センター, 主任研究員 (50357290)
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Keywords | イモゴライト / CCDカメラ / 電子回折 / 原子間力顕微鏡 / スメクタイト / ナノシート |
Research Abstract |
本年度はまず天然無機高分子(イモゴライト,スメクタイト)の原子配列を,電子回折で調べるための準備に取りかかった。既存の透過電子顕微鏡(TEM)に電子回折パターン取り込み用の高感度・高視野CCDカメラ(ガタン社製,ES500W)を装着し,さらにこれによって取り込んだ電子回折パターン中の多くの回折スポットから自動的にその積分強度を測定するプログラムを作成した。これにより今後様々な無機ナノチューブやナノシートの電子回折パターンの強度を定量的に解析し,その原子配列の情報を調べる予定でいる。 イモゴライトのチューブ径及びその分布を原子間力顕微鏡(AFM)で調べる実験を開始した。特に今までの研究で天然のイモゴライトは合成のイモゴライトに比べ,そのチューブ径が細いと言われてきたが,このような違いがAFMで確実に見られることがわかった。しかしながらその径の値は高分解能TEM像などで求まる値と異なっており,その原因を今後調べる必要がある。またトンネル顕微鏡(STM)により,原子分解能で像を得ようとする試みを東京大学物理学専攻の長谷川研究室の支援により行ったが,最後まで良好なSTM像は得られなかった。 また産総研のグループではイモゴライト形成過程の解明のため、イモゴライト前駆体形成時における溶液濃度の依存性について検討を行った。その結果Alの濃度が1.5mol/lとい非常に高い濃度から形成された前駆体からでも、分散過程において希薄な条件下ではイモゴライトが生成されることがわかった。イモゴライトは希薄な溶液からしか生成されないが、前駆体形成時にはイモゴライトの生成に影響を与えていないことが明らかとなった。
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