2006 Fiscal Year Annual Research Report
地球表層で形成される無機高分子の構造とその組織の解明
Project/Area Number |
17340160
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小暮 敏博 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (50282728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 皓彦 お茶の水女子大学, 理学部, 客員教授 (70001865)
鈴木 正哉 独立行政法人産業技術総合研究所, 深部地質環境センター, 主任研究員 (50357290)
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Keywords | スメクタイト / ナノシート / 高分解能電子顕微鏡法 / 2:1層 / 雲母 / イモゴライト / NMR |
Research Abstract |
今年度は主に層状の無機高分子と呼べるスメクタイトに関連する構造の解明に注力した。2八面体型2:1層を持ちAl成分の多いスメクタイト、例えばmontmorilloniteの多くは、その八面体サイトの陽イオン分布が、大きな結晶を形成するmuscovite等とは異なっているという報告がある。muscoviteでは、配位する2つのOH基が対角線上にある八面体サイト(trans-site)が空になっているが、montmorilloniteでは、これとは別の、2つのOH基が隣接した八面体サイト(cis-site)の半分が空となっていることが示唆されている。このような八面体サイトの陽イオン分布の違いを、高分解能電子顕微鏡(HRTEM)法による原子配列の直接観察で明らかにすることを試みた。montmorilloniteはあまりに電子線に弱いため、今回はcis-siteが空になっているillite試料を観察した。ところがそのHRTEM像のコントラストは、通常のmuscoviteのものと全く変わらなかった。その原因について調べたところ、illiteは電顕試料室の真空中における電子照射で脱水素化が起こり、これにより八面体陽イオンのサイト間の移動が起きていることが明らかになった。この結果は、層状珪酸塩の構造をHRTEM法で解析する場合の問題として、論文として国際誌に投稿した。 またイモゴライトの形成過程を解明するため、イモゴライト前駆体形成時におけるSiとAlの結合形態についてSi固体NMRによる検討を行った。その結果、Si源であるオルトケイ酸ナトリウムと、Al源である塩化アルミニウムを混合した段階で、SiとAlは重合しており、アロフェン・イモゴライトに共通なQ3(3Al)構造を有していることが明らかとなった。
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