2005 Fiscal Year Annual Research Report
キラル分子の光誘起核・電子ダイナミクスの量子制御と機能発現に関する研究
Project/Area Number |
17350004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤村 勇一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90004473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 裕彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70178226)
加藤 毅 東北大学, 大学院・理学研究科, 研究支援者 (10321986)
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Keywords | キラル分子 / キラリティー / 量子制御 / コヒーレント制御 / 電子ダイナミクス / 超短パルスレーザー / 分子モーター / 電子の角運動量 |
Research Abstract |
1)キラル分子変換理論の構築が本研究の目的の一つである。我々独自に開発した量子制御理論に基づき、キラル分子のラセミ体混合物から純エナンチオマーを得るキラル変換シナリオを構築した。今年度は、キラル芳香族分子ビナフトール(1,1'-bi-2-naphthol)をとりあげ、反応ポテンシャル、双極子モーメントの評価を行い、電子励起状態を経由するポンプーダンプ型の量子制御が有効であることをシミュレーションにより示した。 2)これまで我々が報告した光誘起分子モーターは回転部として光学活性なアルデヒド基を回転部位とするキラル分子であり、仕事をさせる機能はなかった。今年は、仕事をさせる十分なほどの回転能力が大きい環状π電子系炭化水素分子をプロペラとするアキラル分子を選び、金属基盤に固定された有機分子モーターをモデルとして、分子分極テンソルの分子軌道法による評価、及び、量子力学に基づく回転角運動量の評価を行った。 3)分子骨格の回転ではなく、分子内共役π電子の一方向回転は分子の磁場を光により制御できる可能性があり、分子内電子運動を制御することは興味がある。今年度新たに分子内電子の光制御理論の構築を目的として、サブフェムト秒制御レーザー電場により、キラル共役分子のπ電子を右左に超高速で回転させるための量子制御の基礎理論を展開した。電子運動能に関しては、半経験的分子軌道法により時間依存角運動量を評価した。時間依存角運動量が大きい置換基分子(電子状態が疑縮退した分子)を如何にして選ぶかが重要なポイントであることが明らかになった。今後は、非経験的分子軌道法によるπ電子雲の時間依存角運動量を評価したい。
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Research Products
(4 results)