2006 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解紫外共鳴ラマン分光法による光センサータンパク質の構造ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
17350009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水谷 泰久 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (60270469)
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Keywords | 共鳴ラマン分光法 / 時間分解分光法 / イエロープロテイン / センサータンパク質 |
Research Abstract |
1.イエロープロテイン イエロープロテインの時間分解紫外共鳴ラマンスペクトル測定では、測定中に試料の損傷が起きる問題が昨年度見出された。今年度はその問題を克服し、時間分解スペクトルの測定に成功した。研究成果は、国際学会で発表したほか、投稿論文を準備中である。 2.FixL FixLは根粒菌由来の酸素(O_2)センサーヘムタンパク質で、いくつかの光センサータンパク質がもつPASドメイン構造を共通してもっている。そこで本研究では、全長タンパクおよびセンサードメインについて、時間分解共鳴ラマン分光法を用いて、リガンド脱離に伴う構造ダイナミクスを調べた。 CO光解離後20ピコ秒と1000ピコ秒の時間分解スペクトルでは、デオキシ形のスペクトルに比べて、γ_7バンドは数cm^<-1>高波数側にシフトし、ν_8バンドは強度が弱く観測された。また、δ(C_βC_cC_d)バンドは、デオキシ形、CO結合形とは異なる位置に観測された。CO脱離後10ナノ秒のγ_7バンドとν_8バンドは、振動数、バンド強度ともデオキシ形のそれと一致したが、δ(C_βC_cC_d)バンドは依然として380cm^<-1>であった。この結果はCO脱離に伴いプロピオン酸基の構造変化が起こること、CO光解離後10ナノ秒ではプロピオン酸基の配向はデオキシ形まで緩和していないことを示している。また、O_2脱離に伴う時間分解スペクトルでは、γ_7バンド、ν_8バンド、ν(Fe-His)バンドの変化がサブマイクロ秒領域に新たに観測された。これらの変化はO_2脱離の場合にのみ特異的に観測されたもので、FixLによるガス分子の認識機構と関係していると考えられる。この研究成果は論文としてまとめ、現在投稿中である。
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Research Products
(3 results)