2006 Fiscal Year Annual Research Report
光導波路分光法による有機固体の紫外可視吸収スペクトル
Project/Area Number |
17350016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 桂一郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50114426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 潤 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (00313172)
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Keywords | 光導波路 / エバネッセント光 / 吸収スペクトル / 粉末試料 |
Research Abstract |
粉末試料の紫外可視吸収スペクトルは,化学や材料科学など固体を扱う広い分野において,きわめて重要であるにも関わらず,これまでその測定は困難であった.私たちはごく最近,試料界面の吸収スペクトル測定法として注目されている光導波路分光法を用いると,粉末試料の紫外可視吸収スペクトルが,溶液の吸収スペクトルに匹敵する高品質のものとして,容易に得られることを見出した.しかも,試料は数mgで済み,1秒以内の測定も可能である.このことは,光導波路分光法が,粉末試料の紫外可視吸収スペクトル測定のための有力な方法となりうることを示唆している.本研究の目的は,光導波路分光法による粉末試料の紫外可視吸収スペクトル測定を一般的な方法として確立させることにある.そのうえで,有機固体中のフォトクロミズムおよびサーモクロミズムの機構の解明を目指す. 光導波路分光法は,粉末試料について,非常に容易に,ほぼ瞬時に,きわめて良質の吸収スペクトルを与えてくれる.しかし,吸収スペクトルをまったく与えない場合もある.本法を一般的な測定法として確立させるためには,試料を問わず吸収スペクトルが得られるようにする必要がある.このため,本年度は,様々な有機化合物について,粒径および形状を変えて測定を行った.その結果,スペクトルが得られるか否かは,試料の化学構造とはほとんど関係しないことがわかった.また,観測される吸収スペクトルは,固体そのもののスペクトルであることを明らかにすることができた.
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