2005 Fiscal Year Annual Research Report
3d-4f系多核錯体の構造制御に基づく単分子磁石の創製
Project/Area Number |
17350028
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小島 正明 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (20022725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 祐之 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (70193331)
砂月 幸成 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 助手 (80362987)
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Keywords | 単分子磁石 / ランタニド / 多核錯体 / 三脚型配位子 / 4f金属イオン |
Research Abstract |
私たちは、すでに3d金属イオンと4f金属イオンからなる異種金属多核錯体の合成法に関する普遍的な方法を確立している。3d金属イオンを錯体配位子として4f金属イオンに配位させるこの方法は、強磁性的な3d-4f間の相互作用をもたらすだけでなく、反強磁性的になりやすい3d-3d(あるいは4f-4f)間の相互作用を排除することができ、なおかつ、分子設計を行いやすい極めて有用な方法である。 平成17年度は、この手法を利用して三脚型6座配位子を含むNi(II)錯体を配位子とし、各種ランタニドイオン(Ln(III))との反応により得られる2、3、4核の3d-4f系錯体の構造と磁性に関する研究を中心に行った。2核のNi-Dy錯体において単分子磁性体となる兆候を捕えることができた。一般に、3d-4f系錯体では4f金属イオンの軌道角運動量を考慮しなければならないために磁性の理論的解釈が非常に困難である。そこで、3d-4fイオン間の磁気的な相互作用を検討するために、反磁性のZn(II)錯体配位子とランタニドイオンLn(III)から成る対応する錯体を合成した。この錯体の磁化率の値を差し引くことで磁気的性質を見積ることができた。成果の一部は、スロバキアとハワイにおける国際学会において発表し、現在、論文投稿準備中である。 また、Ni以外の第一遷移金属を用いた3d-4f系多核錯体の合成と磁気的性質に関する研究のために、錯体配位子として作用するMn、Coの単核錯体の合成を行った。Mn(III)単核錯体を錯体配位子とし、Ln(III)への配位を試みたが配位能力が弱く3d-4f系錯体の合成には成功していない。配位子を設計し直して、Mn(III)単核錯体の配位能力を高める必要がある。
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Research Products
(3 results)