2006 Fiscal Year Annual Research Report
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17350043
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤澤 清史 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 助教授 (10251670)
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Keywords | 遷移金属錯体 / 酸素錯体 / 分光解析 / 電子構造 / 反応機構 / 触媒 / 水酸化反応 / モデル錯体 |
Research Abstract |
本研究は、今までの研究をさらに発展させるとともに、酸素だけではなく他の不活性分子の活性化を行い、中間体を単離し、その中間体の構造を詳細に解析し、その精巧な電子構造を解明することを目的とした。さらに遷移金属イオンを用いた安定小分子の活性に関する統一的理解を目指し、次にあげる6つの方法論を中心に、多くの錯体の合成・解析を行った。なお、本年が最終年度に当たるため、研究のまとめも行った。 (1)新規配位子、N4三脚型配位子トリス(ピラゾリル)アミンおよびかさ高いN2型配位子ビス(ピラゾリル)メタンを合成し、配位子の窒素原子の数、電荷、置換基のかさ高さが銅(II)錯体の構造・性質にどのような影響が与えるかを詳しく検討した。 (2)上記の新規配位子を用いて合成した銅(II)錯体に、低温で塩基と過酸化水素、アルキルハイドロパーオキサイドを加えることにより、今までにない吸収帯を持つ、新規熱的不安定な錯体を得た。現在、生成した錯体の同定を行っている。さらに、その構造・電子状態を明らかにしつつある。 (3)上記N4型配位子と銅1価塩との反応を行い、引き続いて酸素化を行った後の最終生成物を現在単離・結晶化を行っている。銅2価錯体が得られているので、今後その構造を解析する。 (4)フェノール、カテコールの生成およびその活性化機構の解明を行い、酵素活性化の機構について知見を得た。銅(II)フェノキソ錯体の合成し、その電子構造を詳細に検討した。 (5)エチレン重合反応をトリス(ピラゾリル)メタン配位子を用いて詳細に検討した。その結果、重合活性が高くなったが、分子量分布が広くなった。ビス(ピラゾリル)メタン配位子による錯体合成を現在行っている。 (6)銅ニトロシル錯体の構造を決定し、配位子の電荷に関して詳細に検討した。 以上のように、本研究に関する多くの成果を得ることができた。
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