2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17350044
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相田 卓三 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00167769)
|
Keywords | キラリティー / 絶対不斉合成 / ポルフィリン / デンドリマー / スピンコート / 光学活性 / 超分子 |
Research Abstract |
化学的な不斉源を用いずに光学活性化合物を合成する「絶対不斉合成」は光学活性化合物の超効率的な合成法となりうるだけでなく、地球上の生命におけりホモキラリティーの起源とも関係づけられるため、様々な分野で大きな関心を惹きつけている。我々はスピンコートによって生じる分子集合体の自発的なキラル対称性の破れを利用した絶対不斉合成に関する研究に取り組んできた。デンドリマーのコアにキラルなサドル型ポルフィリンを導入し、スピンコートによって誘起される分子集合体のねじれによって、そのコアのポルフィリンのキラリティー制御を検討した。デンドロンとカルボン酸フェニル基を持つサドル型ポルフィリンは、クロロホルムやベンゼンなど極性の低い溶媒中で、J-会合体を形成することが明らかになった。しかし、この会合体のスピンコートフィルムにおいて、ポルフィリン部位からの不斉誘起を確認することはできなかった。おそらく、集合体の弾性が低いためと考えられる。しかし、予備的な結果ではあるが、デンドリマーではなく長鎖のアルキル鎖を持つサドル型ポルフィリンであれば、スピンコートフィルムの形成時において集合体の不斉に偏りを生ることが明らかになった。そこで、このフィルムを酢酸に溶解させて、集合体を解離させ、コアのポルフィリンの絶対配置を固定化したところ、不斉が記憶されていることがわかった。これから、アルキル鎖の長さ、溶媒、濃度など様々な条件を変化させることによる不斉誘起の実験を行い、最も好ましい条件の調査とメカニズムの解明を行う予定である。
|
Research Products
(1 results)