2005 Fiscal Year Annual Research Report
実践的金属複合反応場:有機金属ポリマーに固定した多核金属錯体による触媒反応の実現
Project/Area Number |
17350050
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永島 英夫 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (50159076)
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Keywords | 分子触媒 / 有機金属錯体 / クラスター / ヘテロバイメタリック / 有機金属ポリマー / 還元反応 / 重合 / シラン |
Research Abstract |
本研究では、分子触媒の中でも未開拓の分野である金属クラスター触媒の開発とそれを用いた実践的な触媒反応の実現を目的に、有機金属ポリマーを反応剤に用いて、クラスター触媒を有機金属ポリマー中に固定した複合型金属クラスター触媒とそれを用いた触媒反応を開発している。本研究は、3ヵ年計画で、A.ルテニウムクラスター錯体、ニッケルを含むヘテロバイメタリック錯体の誘導体化による高効率触媒を開発する研究、B.有機金属ポリマーマトリクスへの触媒固定と分離まで含めた触媒プロセスの確立、の2つのテーマを完成させる。研究の方法は、(a)錯体の設計・合成、(b)構造・電子構造解析、(c)動的挙動・素反応解析、(d)従来の触媒反応条件での触媒活性の検証、(e)有機金属ポリマーへの触媒固定、(f)高分子反応場での触媒反応の達成、の6段階をサイクルして実験をおこなう。平成17年度は、錯体としてルテニウムクラスター錯体、触媒反応としては、ヒドロシランの活性化を経由する、カルボン酸誘導体の還元反応、重合反応に集中して、研究段階(e)からスタートしBを達成する計画で研究をおこなった。その結果、ルテニウムクラスター触媒と高分子状シロキサンを反応剤に用いた、アミドおよびカルボニル化合物の還元反応プロセス(とくに大量合成法)を確立した。また、高分子状シロキサンへのルテニウムクラスター触媒の固定と、その構造、機能解析、を通じた、高分子マトリクス内の触媒活性種の解明の研究手法を確立した。同様に、高分子合成反応(ビニルエーテルの重合、環状エーテルの開環重合)への複合金属反応場の応用、を合わせて検討し、その高い活性を確認した。Aの課題についても、あわせて検討し、ニッケルを含むヘテロバイメタリック錯体の誘導体化に成功し、触媒活性との相関を得た。
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