2005 Fiscal Year Annual Research Report
表面へのπ機能団の導入を機軸とする半導体ナノ粒子の発光制御とセンシングへの応用
Project/Area Number |
17350062
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小西 克明 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助教授 (80234798)
|
Keywords | 環境材料 / 分子認識 / 超分子化学 / 半導体微粒子 |
Research Abstract |
本研究は、これまで無機材料の分野で扱われてきた「半導体クラスターの科学」に、「有機化学のエッセンス」を注入し、その光化学的特性(吸収、発光)をチューニングするとともに、申請者らが独自に見いだした「表面π官能団と外部物質との相互作用にともなうクラスター発光変化」を基盤に、表面へのπ系有機機能団の導入により、「色(光吸収)」や「発光」の変化で応答するセンシングシステム・材料を創製することを目的とした。 申請者らのこれまでの研究で、表面に12個のフェニル基を導入したCdSクラスター分子Cd10S4(SPh)12の近傍に、4級アンモニウムイオンがπ相互作用で表面置換基の間にインターカレートして集積化し、さらにそれがクラスター由来のオレンジ色発光(~600nm)を著しく増大させることがわかっている。本年度の研究においては、表面フェニル基のパラ位に種々の電子吸引性、供与性置換基を導入し、カチオンインターカレート型複合体の発光特性について系統的な検討を行ったところ、置換基の電子吸引性が増加するにつれて、発光波長が高エネルギー(短波長)側にシフトし、強度(量子収率)も増大することがわかった。また、π共役系を拡張したナフチル基を導入したクラスターについても同様の検討を行ったところ、フェニル置換型と同様、インターカレーションに伴って、クラスター由来のオレンジ色発光が増強したが、同時にフェニル置換型では見られない青色の発光が420nm付近に現れた。励起スペクトルなどを詳細に検討したところ、カチオンのインターカレーションに誘起された表面ナフチル基の基底状態ダイマーからの発光であることが判明し、本クラスターのCd10S16骨格が複数π機能団の動的な集合体を構築する上で有用なscaffoldとなることが示された。
|
Research Products
(1 results)