2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属ナノ粒子のプラズモン光電気化学過程の解明とデバイスへの応用
Project/Area Number |
17350064
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
立間 徹 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授 (90242247)
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Keywords | 金ナノ粒子 / 銀ナノ粒子 / プラズモン共鳴 / 電気化学 / 光電変換 / 光触媒 / アクチュエータ |
Research Abstract |
金属ナノ粒子とn型半導体を組み合わせた系において見られる電荷分離の機構解明と、各種デバイスへの応用を試みた。金ナノ粒子をITO基板上に電解析出し酸化チタンで被覆した電極に、電子ドナーや電子アクセプターを含む電解液中で可視光を照射すると、プラズモン共鳴に起因したカソード光電流が得られるが、このデバイスの可視光応答光触媒としての応用可能性について検討した。電子ドナーとしてエタノール、電子アクセプターとして酸素を含む電解液中で電極に可視光を照射したところ、光電流はほとんど得られなかったが、酸化チタン表面に白金ナノ粒子を担持することで、電極から酸素への電子移動が促進され光電流が増加することを明らかにした。一般に、光触媒用途では、有機物などの酸化反応と同時に酸素の還元反応が起きる必要があるため、本電極は可視光応答光触媒としての利用に適することが示された。 また、プラズモン共鳴に基づく光電気化学アクチュエータの検討では、優れた力学物性や迅速な刺激応答性を示すナノコンポジット型ヒドロゲルにポリアクリル酸と銀ナノ粒子担持酸化チタン粒子を組み合わせることで、紫外光照射時にプロトンを生成し、可視光照射時にプロトンを消費するシステムを構築し、プロトンとゲル側鎖の相互作用を駆動力として膨潤・収縮するゲルの開発に成功した。これは、従来の銀ナノ粒子/銀イオンとゲル側鎖の相互作用を駆動力とするゲルとは逆の膨潤収縮挙動を示し、従来よりも膨潤収縮比や速度、繰り返し特性などが向上した。さらに、銀ナノ粒子をあらかじめ酸化チタン上に析出させてゲルに導入したところ、照射した可視光の色に変化する多色フォトクロミック特性の発色向上が確認された。
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