2006 Fiscal Year Annual Research Report
イオン性液体の液晶化・配向制御による高機能イオン輸送材料の開発
Project/Area Number |
17350065
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 隆史 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (70214377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉尾 正史 東京大学, 大学院工学系研究科, 助教 (60345098)
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Keywords | イオン液体 / 液晶 / 超分子化学 / 自己組織化 / ナノ構造 / 異方性 / イオン輸送 / 物質輸送 |
Research Abstract |
高機能材料の構築において、分子の自己組織化プロセスの活用が注目を集めている。中でも、分子が動的な秩序構造を自発的に形成する液晶は、イオンや電子を異方的に輸送する場として極めて有用である。本研究では、イオン液体などのイオン性分子の液晶化と配向制御による高機能イオン輸送材料の構築を目的とした。 新しいイオン輸送性液晶の開発を目指し、スピロピラン誘導体の液晶化に着目した。スピロピラン分子は、酸添加により開環およびイオン化してメロシアニンとなる刺激応答性分子である。もし、メロシアニン構造をカラムナー液晶化して一次元に組織化できれば、一次元イオン伝導体として機能すると期待された。 3,4,5-トリス(アルコキシ)ベンゾエート部位を有する扇形分子構造のスピロピラン誘導体を設計・合成した。この分子単独では、非液晶性であるが、4-メチルベンゼンスルホン酸やメタンスルホン酸などの酸性分子を導入することにより、メロシアニンへと異性化させ、カラムナー液晶性を発現させることに成功した。ガラス基板上でこのカラムナー液晶に機械的なせん断力を加えたところ、カラム構造を基板表面に対して水平に一軸配向させることができた。くし形金電極付きガラス基板を用いて、配向させたカラムナー液晶のカラム軸に平行および垂直方向のイオン伝導性を交流インピーダンス法により温度可変で測定した。液晶状態では、カラム軸方向の伝導度は垂直方向よりも高い値を示した。昇温過程において、液晶相から等方相に転移すると伝導度の異方性が消失した。この結果は、カラムナー液晶相においてイオンの一次元伝導パスが形成されていたことを示している。本研究では、スピロピラン誘導体と酸性分子の自己組織化による新しい一次元イオン伝導性カラムナー液晶を開発することに成功した。
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Research Products
(6 results)