2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体物質の水素と水和水を含む新しい構造生物化学の構築
Project/Area Number |
17350080
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
新村 信雄 茨城大学, 理工学研究科, 教授 (50004453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 伊知朗 茨城大学, 工学部, 助教授 (20354889)
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Keywords | 中性子構造生物 / 構造生物化学 / 水素 / タンパク質 / ミオグロビン / ねじれ配座 / 重なり配座 |
Research Abstract |
我々は高分解能(1.5Å-2.5Å)で中性子構造解析を行い、全水素、全水和水決定に成功し,これらの水素・水和構造を含めたタンパク質構造を総合的に評価した結果、いくつかはタンパク質が複雑な構造を有することで、有機化合物に較べて多種多様な環境が実現し、それに応じた新規な化学結合構造をとっていることが判明した。そこで、新たに更に多くの基本的なタンパク質の中性子構造解析を行い、新しい構造生物化学を世界に先駆けて確立する。 ○タンパク質分子内に形成される水素結合 水素結合は水素原子を介した化学結合のひとつであり、タンパク質の構造と機能を研究するのに重要な役割を演じている。中性子回折法では水素原子が他の炭素、窒素、酸素原子と同様の精度でその位置が決定されるので、X-Hを水平軸にとり水素原子を原点に置き、アクセプター原子位置の分布をプロットすることができる。ミオグロビン分子の主鎖間の水素結合(N-H----O=C)について詳細を検討した。その結果、角度NHO(・_1)と角度COH(・_2)は強い相関(・_2=3.6*・_1-468)があり、水素結合が直線からずれる程度はアクセプターのlone pairの位置によることが判明した。 ○タンパク質分子のメチル基の立体配座 エタンの2つのメチル基はそれを繋ぐC-C結合の周りで自由回転するが、ねじれ配座(Staggered conformation)が最も安定な配座で、最も不安定な配座が重なり配座(Eclipsed conformation)である。我々がすでに決定したミオグロビン中には92個のメチル基が同定されているが、92個について立体配座をニューマン投影式で書き表し、二面角を求めたところ、10個が-30°〜+30°の重なり配座で存在することが判明した。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Neutron Biological Diffractometer in J-PARC Proposed Ibaraki Prefectural Government2006
Author(s)
I.Tanaka, N.Niimura, T.Ozeki, T.Ohhara, K.Kurihara, K.Kusaka, Y.Morii, K.Aizawa, M.Arai, T.Kasao, K.Ebata, Y.Takano
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Journal Title
I CANS-XVII Proceedings LA-UR-3904, Vol.III,
Pages: 937-945
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[Journal Article] Peak overlapping and its de-convolution in TOF diffraction data form neutron biological diffractometer in J-PARC2006
Author(s)
K.Kusaka, T.Ohhara, I.Tanaka, N.Niimura, T.Ozeki, K.Kurihara, K.Aizawa, Y.Morii, M.Arai, K.Ebata, Y.Takano
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Journal Title
Physica B 385-386
Pages: 1062-1065
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