2005 Fiscal Year Annual Research Report
核酸構造に対する分子クラウディング効果の化学的解明と分子スイッチ開発への活用
Project/Area Number |
17350087
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
杉本 直己 甲南大学, 理工学部, 教授 (60206430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 修一 甲南大学, 先端生命工学研究所, 講師 (70340908)
三好 大輔 甲南大学, 先端生命工学研究所, 講師 (50388758)
甲元 一也 甲南大学, 先端生命工学研究所, 講師 (60388759)
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Keywords | 分子センシング / 分子クラウディング / DNA / 熱力学的安定性 / Watson-Crick / Hoogsteen / テロメア配列 / 四重鎖構造 |
Research Abstract |
本研究では、細胞内やセンサー表面で分子センシングが可能な、非希薄水溶液中で機能をもつ核酸スイッチを開発するために、核酸構造に対する分子クラウディング効果の化学的解明を目指している。本年度は、DNAが形成する様々な高次構造とその熱力学的安定性に対する分子クラウディング効果を定量的に調べた。その結果、ポリエチレングリコールやグリセロール等の共存分子(クラウディング剤)はDNAとRNAが形成する二重鎖構造を変化させないが、Watson-Crick二重鎖を不安定化させることが見出された。さらに、この構造不安定化の効果は水酸基を多く持つクラウディング剤ではあまり顕著ではないことを定量的に明らかにした。一方で、三重鎖構造のWatson-Crick鎖とHoogsteen鎖の安定性を測定したところ、水酸基が多いクラウディング剤はHoogsteen鎖を逆に不安定化させることが明らかとなった。さらに、細胞のガン化・老化、染色体融合などに関与していると考えられているグアニンに富んだDNA配列(テロメア配列)が形成する四重鎖構造とその熱安定性を検討した結果、分子クラウディング環境下で形成する構造は希薄溶液中とは大きく異なり、配列によっては多数の核酸鎖が組織化したワイヤー構造を形成することも示された。また、金ナノ粒子やポリマー内で行われる核酸の認識に対しても検討を行い、水溶液中とは異なる興味深い挙動を観測することができた。今後は、分子クラウディング環境下ではどのような駆動力によって核酸構造やその安定性が決定されているのかを検討していく予定である。さらに、二重鎖・三重鎖・四重鎖のデータを比較することで、疑似細胞環境下における核酸構造とその安定性の予測手法を確立し、核酸構造制御スイッチなどの非水溶液中で分子センシングができる機能性オリゴ核酸の定量的な分子設計を試みる予定である。
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Research Products
(15 results)