2006 Fiscal Year Annual Research Report
核酸構造に対する分子クラウディング効果の化学的解明と分子スイッチ開発への活用
Project/Area Number |
17350087
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
杉本 直己 甲南大学, 理工学部, 教授 (60206430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 修一 甲南大学, 先端生命工学研究所, 講師 (70340908)
三好 大輔 甲南大学, 先端生命工学研究所, 講師 (50388758)
甲元 一也 甲南大学, 先端生命工学研究所, 講師 (60388759)
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Keywords | 分子間相互作用 / 分子クラウディング / DNA高次構造 / 二次構造変化 / 四重鎖構造 / DNAポリメラーゼ / 論理素子 / 分子環境応答性 |
Research Abstract |
本研究は、細胞内外で利用可能な機能性核酸の開発に必要な分子間相互作用データベースを作成し、細胞内やセンサー表面で分子センシング可能な核酸スイッチの開発を目的としている。昨年度、細胞内やセンサー基盤表面の分子環境を再現できる分子クラウディング実験系を用いて、分子クラウディング効果がDNA構造によって大きく異なることを見出した。今年度は、DNA相互作用に及ぽす分子クラウディング効果を定量化することで、分子クラウディング環境下ではどのような駆動力によってDNA相互作用が決定されているのかを明らかにするとともに、その駆動力を利用した分子環境応答性DNAスイッチの設計を行った。ポリエチレングリコールを利用した分子クラウディング実験系を利用することで、DNAポリメラーゼとDNAの相互作用(Biotech.J,2006,1,440)、及びDNAと水分子の相互作用(J.Am.Chem.Soc.,2006,128,7957)に対する分子クラウディングの影響を定量的に明らかにすることができた。これらの詳細な検討によって、分子クラウディング環境では、反応に関わる水分子がDNA構造の熱力学的安定性に大きな影響を及ぼしていることも見出された。また、昨年度にDNA四重鎖構造が分子クラウディングに応答して構造変化することを見出していたが、DNA二重鎖を用いた場合は分子クラウディングをトリガーとする分子スイッチ開発は困難であることが示された(Nucleic Acids Research,2007,35,486)。これは、二重鎖構造と四重鎖構造では、構造形成反応に関わる水分子の寄与が異なるためと推測された。そこで、DNA四重鎖構造がもつ分子環境応答性を利用した論理素子を設計したところ、望みの論理応答を示すDNA材料を構築することに成功した(Angew.Chem.Int.Ed.,2006,45,15461)。
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Research Products
(21 results)