2005 Fiscal Year Annual Research Report
液相中でのカーボンナノチューブの高速合成に関する研究
Project/Area Number |
17350093
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
蒲生 美香 (西谷 美香) 東洋大学, 工学部, 助教授 (00323270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 寿浩 東洋大学, 物材機構・物質研, 主幹研究員 (80343846)
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Keywords | ナノ材料 / ナノチューブ / 材料化学 / 環境材料 / 先端機能デバイス |
Research Abstract |
本研究テーマは、我々のグループが開発した「固液界面接触分解法」により、様々な高機能ナノ材料の高速合成を目指すものである。本法は、高温に熱せられた触媒と、原料となる有機液体との接触反応による炭素析出を材料合成の基本とする。反応場である固液界面は、化学ポテンシャルの急峻な変化による非平衡場であり、さまざまな構造・機能を有する炭素材料合成実現の可能性を秘めている。本法に限らず、材料合成技術においては、任意の構造制御を可能とすることが必要不可欠であると考えている。そのためには、まず、得られる炭素材料とさまざまな合成条件の関係を明らかにし、生成物の合成条件依存性を把握することが重要である。合成条件として重要なものは、接触反応を左右する触媒金属の種類及び状態、接触反応温度、有機液体の種類等があげられる。今回、鉄系触媒を用い、有機液体にメタノールを用いてさまざまな条件で反応を試み、得られた炭素材料の構造及び形態について電子顕微鏡を用いて詳細に観察した。また、合成実験を行う過程において、合成パラメータの設定の再現性を向上させるため、有機液体の冷却法、触媒担持基板と電極との接触抵抗低減法等、合成装置の最適化を同時に行った。その結果、次のことが明らかになった。(1)接触反応温度は、生成物の形態(粒子状、繊維状、膜状)を大きく左右する。(2)触媒担持量は、生成するカーボンナノチューブの直径やグラフェンシートの積層枚数といった微細構造と成長速度に影響を及ぼす。(3)繊維状生成物の得られる反応温度600度を合成過程に存在させることにより、合成中に反応温度を600度以外に変化させても、得られる生成物の形態は繊維状となる。 以上の結果より、形態・構造を制御してカーボンナノチューブを合成するために重要なパラメータが明らかになった。現在、カーボンナノチューブの結晶性を制御するため、合成過程における反応温度(約600度〜1000度)とその保持時間を変えた実験を進めている。さらに、触媒の物理化学状態を制御することにより、カーボンナノチューブの生成に及ぼす影響を調べる予定である。
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Research Products
(9 results)