2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17350096
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉川 信一 北海道大学, 大学院工学研究科, 教授 (10127219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 隆史 北海道大学, 大学院工学研究科, 助手 (60344488)
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Keywords | スピンエレクトロニクス / セラミックス / ナノ材料 / 無機工業化学 / 磁気記録 / 窒化鉄 / 窒化コバルト / グラニュラー |
Research Abstract |
高度情報化社会を支える高感度磁気センサーとして、大きなMR比をもつ磁気抵抗体が重要である。本研究ではFe、Co、Niのポスト遷移金属窒化物が熱的に準安定であること利用して、これらのスパッタ薄膜を熱処理してFe、Co、Ni金属微粒子の析出挙動と、ポストアニール薄膜の磁気抵抗効果を調べることを目的とした。 高周波スパッタ装置にてFeおよびCo、Fe_<70>Co_<30>ターゲットをN_2ガスでスパッタして窒化物薄膜を作製した。スパッタガス圧1Paおよび5Paで成膜した欠陥岩塩型γ'''-FeN_x(0.5≦x≦0.7)または閃亜鉛鉱型γ''-FeN_y(0.8≦y≦0.9)薄膜を真空封管中でアニールした。いずれの薄膜もアニール温度が高まるにつれて窒素含有量が減少し、450℃程度でα-Feが徐々に析出し始めた。ε-Fe_3Nが生成した薄膜では負のMR効果が現れ、さらに熱分解が進んでα-Feの析出および結晶化が進むと、導電性が高まり磁気抵抗効果は観測されなかった。 ガス圧5Paでスパッタ析出した閃亜鉛鉱型CoN薄膜はほぼ量論組成であった。窒化鉄よりも低温の約300℃で逆CaCl_2型のCo_2Nを経由し、350℃程度から低温相ε-Co(hcp)になるとともに、高温相α-Co(転移温度:422℃、bcc)が同時に析出した。強磁性であるCo粒子が析出すると、磁気異方性を反映して正のMR効果が発現した。 合金ターゲットから得た窒化薄膜はガス圧によらず閃亜鉛鉱型の単一相であった。ガス圧5Paで成膜した合金窒化物は強磁性ε-(Fe_<0.70>Co_<0.30>)_3N、γ'-(Fe_<0.70>Co_<0.30>)_4Nと考えられる未知相を経て、350℃付近から窒化鉄の場合と同じbccのFe_<0.70>Co_<0.30>粒子が析出し始めた。熱分解温度は窒化コバルト同様に低く、約400℃で完全に分解し、アニール温度とともに結晶性が向上した。強磁性金属粒子が析出すると負のMR効果が発現し、アニール温度が高まり合金の結晶化が進むと、Co金属と同様な正の磁気抵抗効果も出現した。
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Research Products
(2 results)