2007 Fiscal Year Annual Research Report
廃2次電池からの高効率メタン改質触媒抽出による低温作動SOFC電極の低コスト開発
Project/Area Number |
17350101
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三宅 通博 Okayama University, 大学院・環境学研究科, 教授 (30143960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 元秀 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (80222305)
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Keywords | 廃棄物再資源化 / 廃ニッケル水素2次電池 / 固体酸化物燃料電池 / 環境材料 / 酸化ニッケル / アノード材料 / 触媒 |
Research Abstract |
最終年度である今年度は、廃ニッケル水素2次電池負極材から回収した酸化ニッケル試料(以下w-NiO)の固体酸化物燃料電池(SOFC)用アノード材への利用の可能性を検討した。 電解質にはスカンジウム安定化ジルコニア(以下SSZ)、アノード材にはw-NiOまたは市販のNiO試薬(以下r-NiO)とSSZ、カソード材には白金とSSZを用いて単セルを作製した。現有の発電性能評価装置の都合上、アノード側に3%加湿水素を、カソード側に乾燥空気を導入し、700℃における発電性能を評価した。さらに電流遮断法により、w-NiOおよびr-NiOを用いて作製したアノードにおける電極性能と材料抵抗成分を評価した。 w-NiOを用いて作製した単セルの方がr-NiOを用いたものよりも端子電圧降下が小さく、高い出力密度を示した。この性能差が、材料抵抗に由来するオーミックロスと電極反応に伴う反応過電圧のどちらに起因するかを調べるため、より詳細な検討を行った。その結果、両アノードの反応過電圧には有為な差が見られなかったことより、両セルの性能差はアノードの材料抵抗の相違により生じたことがわかった。アノードの材料抵抗の相違は、その微構造つまり、Ni粒子とSSZ粒子との複合状態に大きく依存すると考えられるが、両アノードの微構造には有意な差がみられなかった。そこで、Ni粒子の連結性を検討した。その結果、w-NiOの方がr-NiOより焼結しやすく、その焼結体が高い電気伝導度を示すことより、w-NiOの方が粒子の連結性が高いことが示唆された。さらに、w-NiO中に含有されるCoの粒子の連結性に及ぼす影響を調べたところ、w-NiO中のCoが粒子の連結性を高めていることが分かった。 以上より、両アノードの性能差は、w-NiO中のCoが粒子の連結性を高め、アノードの材料抵抗を低下させたことにより生じたと考えられ、w-NiOはSOFC用アノード材として利用可能であると結論された。
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