2006 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマの異常加熱された電子を利用したSiOx薄膜作成とバリアフィルムへの応用
Project/Area Number |
17350106
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
稲垣 訓宏 静岡大学, 工学部, 教授 (30022015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神藤 正士 静岡大学, 工学部, 教授 (60023248)
成島 和男 静岡大学, 工学部, 助手 (40303531)
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Keywords | パルス変調プラズマ / サイン波変調プラズマ / SiOxプラズマポリマー / 酸素ガスバリアー / 水蒸気ガスバリアー / ポリエチレンナフタレート / スパッタリング |
Research Abstract |
テトラメトキシシランなどの有機シラン化合物を原料とするプラズマ重合、SiO_2をターゲットとするスパッタリングなどプラズマ中に存在する異常に加熱された電子を積極的に利用したSiOx薄膜法を適用し、ポリエチレンナフタレート、PEN、フィルム表面にSiOxを堆積し、酸素および水蒸気ガスバリアー性フィルムを作成した。 PENフィルム上に堆積したSiOxプラズマポリマーの化学組成は、プラズマ重合に使用したプラズマの種類に強く依存した。連続波プラズマでは、Si-O-Si構造に加えSi-C構造が生成する。一方、パルス変調プラズマ、サイン波変調プラズマでは、Si-O-Si構造に加えSi-OCH_3構造が残っている。このSi-OCH_3構造の化学反応性を利用すると、カップリング反応が可能となり、PENフィルム上に堆積したSiOxのナノサイズのピンホールを充填することができる。このシランカップリング処理によって、ガスバリアー性能の向上が図られた。 酸素および水蒸気ガスバリアー性能は、SiOxを作成するために使用したプラズマの種類に強く依存する。ガスバリアー性能は、スパッタリング>連続波プラズマ>パルス変調プラズマサイン波変調プラズマである。最高のガスバリアー性能を示したPENフィルム上にスパッタリングによってSiOxを堆積したフィルムの酸素ガス透過量は、0.14cc/m^2-day at 40℃ at 90%RH、水蒸気透過量は、0.006g/m^2-day at 40℃ at 90%RHであり、実用レベルのバリアー性能にもう少しで到達できるレベルにまで開発できた。 酸素、水蒸気がPENフィルムを透過するプロセスをタイムラグ法によって解析し、ガスバリアー性能の向上の鍵は何かを検討した。酸素、水蒸気の透過は、フィルム内を拡散する速度(拡散係数)よりも、酸素、水蒸気がフィルム表面に溶解する量(溶解度係数)が支配している。特に、水蒸気の溶解度係数は、酸素の10^2程大きく、溶解性の低い表面層を作成することが鍵であることが明らかになった。
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Research Products
(7 results)