2005 Fiscal Year Annual Research Report
マルチブロック共重合体のループ含率とレオロジー挙動の関連の解明
Project/Area Number |
17350108
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡辺 宏 京都大学, 化学研究所, 教授 (90167164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 正志 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80201937)
松宮 由実 京都大学, 化学研究所, 助手 (00378853)
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Keywords | マルチブロック共重合体 / ループ型コンホメーション / ブリッジ型コンホメーション / 弾性回復 / ブロックの過渡的混合 |
Research Abstract |
本研究ではスチレン(S)とブタジエン(B)を構成ブロックとするBSジブロック、BSBトリブロック、BSBSBペンタブロック、BSBSBSBヘプタブロック共重合体をアニオン重合法で合成し、その構造と非線形レオロジー挙動を調べることで、ブロック形態が系の力学特性に与える効果を検討した。 Sブロックのみを溶解するフタル酸ジブチル(DBP)中で、これらの共重合体のBブロックは球状のミクロドメインを形成し、BSジブロック共重合体のSブロックはBドメインにグラフトされたテール型のコンホメーションを、また、それ以外のマルチブロック共重合体のSブロックは隣接Bドメインをつなぐブリッジ型および同一Bドメインにアンカーされたループ型のコンホメーションをとる。定常流動によって、これらの系の弾性は著しく低下したが、小角中性子散乱測定から、この弾性低下は、流動によるBドメイン配列の乱れに由来することがわかった。さらに、流動停止後の弾性の回復挙動を調べたところ、BSジブロック系ではドメイン配列の乱れが大きいほど弾性回復も遅いという容易に予想される結果が得られたが、その他のマルチブロック系は、弾性回復に要する時間がドメイン配列の乱れの程度に依存しないという特異な挙動を示した。この挙動から、流動によってループ型に転化したSブロックがブリッジ型へと回復する過程が系の弾性回復を支配すること、さらに、このコンホメーション変化の律速過程がB、S両ブロックの過渡的混合過程であることが推察された。また、トリブロック、ペンタブロック、ヘプタブロック系の順に弾性回復時間が約10倍づつ増加するという興味ある結果が得られたが、この結果から、B、S両ブロックの過渡的混合の自由エネルギーが熱エネルギーと同程度(〓2.5kJ/mol)であることが推定された。
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Research Products
(1 results)