2005 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物ヘテロ構造における界面ハーフメタル性とスピン注入効果
Project/Area Number |
17360020
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浅野 秀文 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50262853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 正顯 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90013531)
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Keywords | トンネル効果 / ハーフメタル / スピン注入 / 磁気抵抗効果 / アンドレーエフ反射 |
Research Abstract |
スピン注入効果の研究に必須な界面ハーフメタル性を有するヘテロ構造の実現に向けて、ハーフメタルと予測されている酸化物強磁性体と非磁性絶縁体(半導体)、非磁性金属、超伝導体との各種ヘテロ構造の作製とその界面制御に関する検討を進めている。ヘテロ構造におけるハーフメタル酸化物強磁性体としては、界面ハーフメタル性がほぼ実証されているペロブスカイト構造La_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3、並びに類似した構造である二重ペロブスカイト構造を持ち、よりキュリー温度T_cが高く応用上有利なSr_2FeMoO_6(T_c=420K)及びSr_2CrReO_6(T_c=620K)を用いた。 作製した酸化物強磁性体ヘテロ構造に対して、二種類の手法を用いて界面スピン分極率の測定を行い界面スピン分極率Pの挙動を総合的に解析した。その第1は、強磁性接合におけるトンネル型磁気抵抗(TMR)効果であり、第2は、超伝導接合におけるアンドレーエフ反射測定である。La_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3に対してこの二種類の手法による解析を行い、さらに界面構造の光電子分光(XPS)観察を行った結果、La_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3薄膜の界面構造、特に界面層として存在するSrOの厚さに依存して、界面スピン分極率が大きく変化することが明らかになった。ここで得られた最大の界面スピン分極率は0.77であったが、界面層SrOの低減により、界面スピン分極率のさらなる向上が可能であることが示された。また、アンドレーエフ反射測定用接合における上部電極超伝導体として化学的に安定なNbNを用いたが、このようなNbN接合法が、各種強磁性体のスピン分極率測定に適用できる汎用性の高い手法であることを見出した。本手法は、ハーフメタルヘテロ構造の研究において有力な評価手法となると考えられる。一方、二重ペロブスカイトSr_2FeMoO_6、Sr_2CrReO_6(T_c=620K)については、XPSにより各種絶縁体物質との界面構造観察を行い、MgOとの界面においてのみ界面ハーフメタル性が維持されているという実験的証拠を得ており、ハーフメタルヘテロ構造の材料設計における重要な知見を明らかにした。
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Research Products
(6 results)