2006 Fiscal Year Annual Research Report
ワイドギャップ酸化物薄膜のテラヘルツ・新光学素子への展開
Project/Area Number |
17360029
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
市川 洋 名古屋工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (10314072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市村 正也 名古屋工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (30203110)
猿倉 信彦 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 教授 (40260202)
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Keywords | テラヘルツ / 光学素子 / 酸化物薄膜 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ワイドギャップ酸化物材料・ZnOの薄膜から成る光源、光変調機能一体化のテラヘルツ波用光学素子に関わる要素技術開発にある。本年度得られた主要な成果は、下記のとおりである。 ○ZnO・エピタキシャル薄膜化とテラヘルツ光放射源(THz-Em素子)の最適化; スパッタ法に加え、レーザーアブレーション法によってZnO材料の薄膜化を行い、500℃以上に加熱したサファイア基板(C面)上へのエピタキシャルZnO薄膜を得ることができた。エピタキシャルZnO薄膜を使ったTHz-Em素子の高出力化について、実験的に検討したところ、薄膜表面上に形成するギャップ電極をAlから高融点のNiに変えることで、フェムト秒レーザー照射による電極の破壊を回避することができた。さらに、電極を含むTHz-Em素子の全面をZnO膜で覆うことにより、出力を約1.5培に増大することができた。これは、ZnO薄膜コーティングにより、電極間に流れる表面電流が軽減できたのではないかと考えられる。(本成果は、現在欧文学術誌への投稿準備中である。) ○THz-Em素子用酸化物厚膜の作製; 本項目は、テラヘルツ波用受動素子作製に関わる実験である。スパッタ法、レーザーアブレーション法の真空装置を用いた物理的薄膜形成法は、エピタキシャル性薄膜の形成には適してはいるものの、薄膜堆積速度が遅く、膜厚μm以上の厚膜を得るには不向きである。そこで、有機金属溶剤を基板上に塗布する有機金属堆積(MOD)法によるZnO薄膜作製を試みた。有機溶剤で薄めた原料の基板上への塗布はスピンコート装置で行い、仮焼、本焼成(酸素雰囲気での結晶化熱処理)条件を検討した結果、仮焼温度;120℃、本焼成温度;600℃のとき、光学特性に優れた厚み1μmのZnO厚膜を得ることができた。
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