2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17360030
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷 正彦 Osaka University, レーザーエネルギー学研究センター, 准教授 (00346181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北原 英明 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 特任研究員 (20397649)
渋谷 亨司 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 特任研究員 (60403036)
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Keywords | テラヘルツ電磁波 / 光伝導アンテナ / 振動円偏光二色性(VCD)分光 / 生体分子分光 |
Research Abstract |
本研究課題の目的はテラヘルツ(THz)帯の生体分子動力学の研究手法として新奇なTHz分光法の開発を行うことである。具体的にはTHz電磁波の偏光を利用したTHz分光手法の開発、特にTHz帯の振動円偏光二色性分光法(Terahertz Vibrational Circular Dichroism, THz-VCD)の開発を目指す。THz-VCDスペクトルの測定は世界的にもまだ報告例がないが、可能になれば、生体分子構造、あるいは生体分子結晶構造の決定などに利用でき、生体分子研究にとって非常に重要なツールとなりえる。 今年度は、さらにVCD信号検出のための偏光測定の感度を上げるため、WGを2重に重ねたものをTHz電磁波の偏光子として用い、わずかな偏光変化を測定できるシステムを開発した。WGを2重に重ねることで、透過率を犠牲にすることなく偏光子としての性能をほぼ2倍にできる。テフロンなどのポリマーの微小な複屈折を本システムではΔn〜10^<-5>オーダーまで検出可能であることを実証した。これは報告されているTHz領域の測定では最高感度である。このシステムを用いてアミノ酸の一種であるアラニン(Ala)をアニオン、tetrabutylphosphonium(TBP)をカチオンとするイオン液体[TBP][L/D-Ala]を測定した。残念ながら、誤差の範囲内で有意と判定できるVCD信号は検出できなかった。しかしながら、本課題で開発したTHz帯の偏光分光技術、すなわち、多重電極型光伝導アンテナによるTHz電磁波の高速偏光変調技術及び高感度偏光検出技術、多重WG偏光子を用いた超高感度THz電磁波偏光分光技術はこれまでの感度限界を打ち破り、今後のテラヘルツ帯のVCDを含めたテラヘルツ帯の生体分子分光にとっては極めて有用な技術となりうると考えられる。
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Research Products
(3 results)