2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17360031
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊東 一良 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (80113520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 毅 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90283720)
松永 幸大 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (40323448)
小関 泰之 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60437374)
渡辺 歴 独立行政法人産業技術総合研究所, 光技術研究部門, 研究員 (90314377)
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Keywords | 誘導パラメトリック発光 / 顕微鏡 / 非線形光学 / 生体分子追跡 / タンパク質 / 干渉 |
Research Abstract |
本研究の目的は,複数のタンパク質分子を個々に3次元トラッキングし,生細胞中における複合体形成の過程を時系列的に観察すること,及び特定の単一分子の3次元的動態を長時間計測し,それらの相互作用を解明することである.当初,これに向け,蛍光タンパクの分光実験を進めていたが,その過程で2波長パルスを使用する新しい顕微法である誘導パラメトリック発光(stimulated parametric emission,SPE)顕微鏡の着想に至り,SPEを用いた生体の動態観察法の研究を進めた. 今年度の成果は以下の通りである.1.3次元高速走査型のSPE顕微鏡を開発し,10μm立方の走査時間を50msまで短縮することに成功した.この値は一般的なレーザー走査顕微鏡と比較して1〜2桁短い.従って,高速3次元トラッキングに向けた重要なマイルストーンを達成できた.2.SPE信号の分光情報を取得し、分子識別を実現するため、フォトニック結晶ファイバにより発生する800nm帯広帯域励起光の適用を検討した.その結果,100nmに亘る広帯域SPEスペクトルの一括取得に成功した.3.高感度化に向けて干渉型SPE顕微鏡を開発し,量子限界までわずか4dBに迫る高感度性を実現した.これにより、従来10mW以上必要であった入射パワーを3mW程度まで低減することができた.これは観察時の試料への光損傷を軽減する上で極めて有益である.4.無染色生体分子のSPEスペクトル取得に向けた短波長型SPE分光法の研究を進めた。レーザを始めとする顕微分光系全体に自動波長掃引機構を導入し、様々な物質のSPEスペクトルを測定するとともに、生細胞の観察を進めた。その結果、(a)再現性の高いSPEスペクトル測定が可能であること、(b)細胞核から強いSPE信号が得られ、コントラストの高い断面像が得られること、の2点を確認できた。以上の成果により、SPE顕微鏡による生体分子観察の有効性を実証したと考えている。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Single-organelle tracking by two-photon conversion.2007
Author(s)
Watanabe, W., Shimada, T., Matsunaga, S., Kurihara, D., Fukui, K., Arimura, S., Tsutsumi, N., Isobe, K. and Itoh, K.
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Journal Title
Optics Express 15
Pages: 2490
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