2006 Fiscal Year Annual Research Report
固体素子におけるテラヘルツ電気信号と光波の相互変調
Project/Area Number |
17360032
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
角屋 豊 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 教授 (90263730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 二郎 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助手 (90346528)
寶迫 巌 独立行政法人情報通信研究機構, 第一研究部門, 研究マネージャー (00359069)
関根 徳彦 独立行政法人情報通信研究機構, 第一研究部門, 研究員 (10361643)
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Keywords | テラヘルツ / ストリップ線路 / 量子井戸 / 誘電応答 / カスケードレーザ |
Research Abstract |
(1)マイクロストリップ線路(MSL)に埋め込まれた量子井戸における光励起キャリアによる,サブピコ秒電気信号伝搬制御,および量子井戸キャリアのTHz誘電応答の解明のための実験を進めた.まず標準的なMSLを作製し,1mm伝搬後において周波数幅2THz,ダイナミックレンジ60dBの良好な信号を確認した.引き続き,半導体量子井戸層を埋め込んだMSL素子作製を進めた.埋め込み後の平坦性に改良の余地が残ったものの,200μm長の量子井戸層を確実に埋め込む方法を確立した.サブピコ秒電気信号発生・検出,および量子井戸領域光照射による伝搬特性変化の観測を行ない,光照射によって信号強度が変化することを確認した.この結果より量子井戸キャリアのTHz誘電応答解析を進めている.来年度は,さらなるプロセス方法や測定光学系の改良,量子井戸幅や試料温度依存性の解明,等を進める.また新たな試みとして,半導体超格子層を用いたサブピコ秒電気信号の増幅の可能性を検討した.素子作製には成功したが,増幅のための高い直流バイアス電流によって線路が断線するという困難があることが判明した. (2)量子井戸の光学特性変化を用いて,サブピコ秒パルス波形を空間軸で測定するための素子設計を行なった.FDTD法による数値シミュレーションの結果,薄い量子井戸層を用いることで,MSLに埋め込んでも,伝搬に対する影響はほぼ無視できること,また空間波形から得られるスペクトルが時間波形から得られるスペクトルに変換可能であることを確認した. (3)量子カスケードレーザー(QCL)の構造最適化を行い,低損失な金属-金属導波路を有する素子の作製に成功した.この結果,閾値電流密度の大幅な低減(0.45A/cm2)を実現した.来年度はMSLによってQCLと量子井戸素子と連結し,高強度THz波による量子井戸光学特性の変調を進める.
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Research Products
(1 results)