Research Abstract |
本研究では,以下の4つの研究を行った. (1)「YVO_4レーザー加工機を用いたステンレス鋼とチタンへの発色加工とその管理」では,ステンレス鋼とチタンの2種類を供試材とし,YVO_4レーザ加工機の繰り返し照射によって酸化皮膜を生成・成長させ,発色の種類(範囲やその限界)を確認する.つぎに,先の現象をもとにその発色現象を原理的に把握し,最後に,レーザーの加工条件と発色の関係のニューラルネットを構築し,その逆解法による発色制御手法を開発,評価する. (2)(1)において発色条件を見つけにくかったステンレス鋼を供試材とし,まず,正確な酸化皮膜の膜厚を推定するため,理論的に膜厚と干渉色との関係を調べ,さらに,発色しにくい色(鋭敏色)の考察を行った.発色制御にはニューラルネットワークを使用せず,単純な加工条件をデータベース化することにより発色加工を行った.つぎに,所望の膜厚を安定して得るため,実験環境の外乱が加工精度に及ぼす影響について考察し,発色加工の安定化を図った.最後に,酸化皮膜の耐摩耗性,耐候性を検討することにより,工業的な有効性について評価を行った. (3)従来のレーザ加工では発色しにくかった鋭敏色を発色制御する新手法を開発し,その評価を行った.さらに,従来よりも厚い酸化皮膜を生成・成長させることによって,従来出すことができなかった発色も試行した.最後に,第2章で行ったステンレス鋼表面発色部の耐候性の検討結果を受け,今回は耐候性の改善を試行・評価した. (4)この発色技術をナノオーダーの金型製作技術に転用し,その効果を評価する.具体的には,まず,ベース材からの酸化膜上面の高さの測定技術を確立し,それを使用して酸化膜上面高さと発色の関係を明らかにする.つぎに,マスキングと微動テーブルを用いた新しい装置を使用して水平方向の酸化物創生限界を明らかにする.最後に,総合評価としてプロトタイプ金型を製作し,それを用いてシリコン製品を成型し,本手法の工業的な有効性を評価を試みた.
|