2005 Fiscal Year Annual Research Report
液滴内屈折を考慮した潜熱蓄熱スラリの光学的凝固度計測
Project/Area Number |
17360088
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
工藤 一彦 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40142690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 明慈 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90202051)
持田 明野 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50241352)
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Keywords | 潜熱蓄熱スラリー / 固化率測定 / 透過率 / 反射率 / モンテカルロ法 / パラフィン微粒子 / 粒子群ふく射透過 |
Research Abstract |
本研究では、パラフィンを界面活性剤により水中に微粒子として多数懸濁させた潜熱蓄熱スラリ(PCM媒体)を対象とし、このような微粒子の可視光に対する透過率が、パラフィン微粒子の融解時と凝固時で異なることを利用した「潜熱蓄熱スラリ中のパラフィン微粒子の固化率を光学的手段を用いて定量的に計測する手法を確立すること」を目的としている。 本年度は、粒径分布を有し、光学特性の異なる粒子が混在するパラフィン微粒子を懸濁したスラリ層に、670nmのレーザー光を当てた時の、層の透過率と反射率を求める解析手法をモンテカルロ法を用いて開発し、これを用いて、粒子光学特性が層の光学特性に及ぼす影響を数値的に調べた。 本解析では媒体による光の吸収、粒子による屈折・吸収・散乱を考慮した。この際、対象とするパラフィン粒子のサイズパラメータは20程度であるため、幾何光学的な扱いを行った。粒子と媒質界面での反射はスネルの法則に従い、反射率はフレネルの法則に従い入射角の関数とした。対象のPCMは粒子の体積分率が0.2程度と高めではあるが、独立散乱での扱いが可能な領域である。 これらの結果、以下の結論が得られた。 1.本モデルによる粒子充填層の透過率解析結果は他の文献値と10%以内の誤差で一致し、モデルの検証がなされた。 2.粒子と媒質の屈折率比と層の透過率は反比例関係に、反射率は比例関係ある。これは、屈折率比増加により、粒子による散乱が等方的に近づくためである。 3.パラフィン固化率増加に伴う透過光強度減少には、固化に伴う屈折率変化と微粒子表面の反射特性の変化が関与している可能性が示された。後者の影響がより大であり、来年度のパラフィンの光学特性計測、固体粒子の反射特性の計測により、この推定の妥当性評価を行う予定である。
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