2006 Fiscal Year Annual Research Report
発電用大型風車からの上向きリーダ開始条件と防雷対策に関する研究
Project/Area Number |
17360124
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
渡邉 貞司 岐阜大学, 工学部, 教授 (20021595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 信之 岐阜大学, 工学部, 教授 (80179415)
王 道洪 岐阜大学, 工学部, 助教授 (20273120)
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Keywords | 雷 / 雷害 / 冬季雷 / 上向きリーダ / 防雷 |
Research Abstract |
石川県内灘町の大型風車を対象に雷総合観測実験を行った。17年度の観測実験では予想外の平成豪雪、平成18年度では暖冬、雷観測の困難さが改めて痛感させられたが、平成17年度と平成18年度あわせて30例ほどの落雷データを得ることに成功した。以下に観測したデータの途中解析結果を述べる。 1.風車及び風車を守る避雷塔への落雷の殆どは上向き雷であった。正極性の落雷より負極性の方が非常に多かった。また、正負両極性の電荷を中和する落雷が多発した。近くでほかの場所に雷が発生した場合にも風車と避雷塔から上向きリーダが確認された。 2.風車の近くで避雷鉄塔を立てた場合、鉄塔の方にはあらゆる方向からの落雷があるのに対して風車にはほぼ真上か鉄塔がない方からの落雷が集中していることが分かる。この結果より避雷塔を増やせば、風車への落雷を相当減らすことができると予想できる一方、避雷塔だけで風車への落雷を完全に防ぐことが極めて難しいと考えられる。 3.風車及び風車を守る避雷塔へ落雷の電界変化が二つのタイプに分類できることが分かった。タイプ1の電界変化は風車・鉄塔に近いほど電界変化が大きい。この電界変化が明らかに上向きリーダによるものであると推測できる。タイプ2の電界変化はタイプ1と類似している部分がある一方、この部分の前にすでに電界変化が見られ、この前兆部分はむしろ風車・鉄塔に近いほど電界変化が小さい。この前兆部分の波形は風車・鉄塔落雷そのものによる電界変化ではなく、近くの雲放電または別の場所への落雷による電界変化と推測できる。この結果より、風車・鉄塔への落雷はトリガー形態別に二つの種類に分類できると分かる。タイプ1の落雷は雲内放電活動に関係なく、自発的に風車・鉄塔から開始した上向き雷で、タイプ2の雷は雲内放電活動によって開始された上向き雷である。それぞれのタイプの落雷について別々の対策を取るべきであることが分かった。
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Research Products
(1 results)