2006 Fiscal Year Annual Research Report
窒素の繰返し放電特性とSF_6代替ガスとしての使用条件の最適化に関する研究
Project/Area Number |
17360131
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
湯本 雅恵 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (10120867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 茂 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (80097170)
岩尾 徹 武蔵工業大学, 工学部, 講師 (80386359)
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Keywords | 窒素 / 活性種 / 繰り返し放電 / 初期電子 / 放電遅れ時間 / 脱励起 / 電子付着 / 仕事関数 |
Research Abstract |
窒素は環境問題の心配が無く、電力機器の絶縁ガスとして有力な候補に挙がっている。しかし、窒素分子は多くの準安定励起準位を有するため、SF_6の代替ガスとして利用できるか否かの判断をするために、多くの体系だてたデータの蓄積が求められている。 そこで、本研究では、窒素の活性種が高気圧中でも後続の放電特性に大きな影響を与えるか否かをまず実験的に明らかにした。具体的には、仕事関数の違う電極を用いて、密閉加圧容器中で繰り返し放電を行い、放電確率と放電が発生した場合の遅れ時間を測定した。その結果、10気圧まで測定を行ったが、測定範囲では仕事関数が小さい電極では前段の放電の影響が10秒以上にわたって観測されたのに対し、仕事関数の大きい材料ではその影響は秒オーダで解消する。これらの結果から、窒素活性種は分子間の衝突によって内部エネルギーの授受を繰り返す、いわゆるプーリング反応が生じ、長時間にわたって内部エネルギーを保存することが予測された。 そこで、内部エネルギーを衝突によって効率的に脱励起することが期待できる、NOあるいはCO_2ガスを微量、窒素ガスに混入させ、同様の測定を繰り返した。その結果、脱励起反応の反応速度定数に依存して、前段の放電の影響が解消する傾向が認められた。しかし、その時間は速度定数から予測される値よりはるかに長時間に及ことが判明した。これは、気圧が高いため分子間の衝突頻度が高く、プーリング反応が優勢に作用しているためと予測された。活性種が後続の放電に影響を与えるのは、内部エネルギーによって電極あるいは容器の壁から電子を放出させるためである。そこで、放出された電子を付着させる目的で微量のSF_6ガスを混入して同様の測定を行ったところ、有効であることが明らかとなった。しかし、SF_6の混入量を多くしても効果は向上しなかったため、脱励起の作用と付着の作用の相乗効果を狙う必要があることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)