2006 Fiscal Year Annual Research Report
希釈窒化物混晶半導体量子ドットの自己形成過程とその制御
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17360135
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡田 至崇 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 助教授 (40224034)
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Keywords | 量子ドット / 自己形成法 / 超格子 / 歪み報償法 |
Research Abstract |
本年度は、GaNAs希釈窒化物半導体を用いて多重積層量子ドット構造の作製を試みた。GaNAsの格子定数は、少量の窒素の添加によりGaAsの格子定数より小さくできるため、量子ドット部で残留する圧縮歪みとは逆向きの引張り歪みを発生させることが可能であると考えた。したがってGaNAs膜をドットの埋込層(中間層)とすることで、1周期毎に格子歪みを一旦ゼロに戻しながら成長ができるようになり、原理的には無限数の積層量子ドット構造が作製できる。本年度は、まずGaNAs歪み補償中間層が積層量子ドット試料の残留歪みを制御するのに有用であることを、XRD、AFM、断面STEM測定から明らかにし、従来法では困難とされたGaAs基板上への量子ドットの多重積層化技術を確立した。次に30層以上の多重積層量子ドット構造を作製し、10^<12>cm^<-2>台の超高密度な多重積層量子ドット構造を実現した。 さらに、GaNAsを中間層として用いた多重積層InAs量子ドットを導入した次世代型太陽電池の試作と特性評価を行った。量子効率測定及びPL測定から、量子ドットの寄与と考えられる光吸収を明確に確認することに成功した。このとき、量子効率のバイアス依存性、および暗電流特性などのデバイス諸特性を調べた結果、量子ドット部での発光再結合による損失まだが大きいことがわかった。また、GaAs基板上の3層積層InGaAs量子ドット試料の電気的特性を導電性SPM法により評価した。積層量子ドット試料の電気的特性は、上下の量子ドットの量子準位に強く影響し、積層量子ドット間のトンネル効果を用いた光キャリアの収集の検証に向けては、バンド構造の精密な設計に基づくバンドエンジニアリングの必要性を明らかにした。
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Research Products
(5 results)