2007 Fiscal Year Annual Research Report
希釈窒化物混晶半導体量子ドットの自己形成過程とその制御
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17360135
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡田 至崇 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (40224034)
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Keywords | 量子ドット / 自己形成法 / 希釈窒化物半導体 / 歪み補償成長法 / 分子線エピタキシー |
Research Abstract |
本年度は、最適化されたイオン除去電極の下で活性なイオン種を取り除きGaInNAs量子ドットを作製した。また発光特性の改善を目的としてGaAsSb歪み緩和層で埋め込む構造を検討した。作製したGaInNAs量子ドットは、GaAsとの格子定数差に起因して、量子ドット形成の際、及び埋め込みの際に大きな格子歪みを受ける。その結果、量子ドットサイズの減少や、残留歪みによる発光波長の短波長化が生じる。その解決策としてInGaAs,GaAsSb等の歪み緩和層を導入した構造を検討した。埋め込み層であるGaAsSbの格子定数をGaAsとGaInNAsの間になるように制御することにより、GaInNAs量子ドットに加わる局所的な歪みを低減できる。その結果、長波長側での発光や、ヘテロ界面で発生しやすい非発光再結合中心を減少させることが期待できる。加えて、GaAsSbとGaInNAsとのバンドオフセットの観点から、量子閉じ込めが強い状態を維持でき、発光強度の温度依存性が改善できると考えた。 そこでGaAsSb歪み緩和層を用いてGaAs(001)基板上に自己組織化Ga_<0.6>In_<0.4>N_<0.012>As_<0.988>量子ドットを作製し、発光特性について評価を行った。GaAs_<0.821>Sb_<0.179>歪み緩和層の導入による成長後の表面は非常に平坦なものが得られた。また歪み緩和層の導入により発光ピークが長波長化し、発光強度も増大した。さらに活性化エネルギーが増大したことから、GaInNAs量子ドット部での局所的な歪みの緩和、及びヘテロ界面の品質が改善されたと考えられる。 以上からGaAsSb歪み緩和層を導入した場合、GaInNAs量子ドットの発光特性を維持しながら長波長化が可能であることを明らかにした。Sb組成、歪み緩和層構造の最適化により、さらなる発光の長波長化と発光強度の改善が期待できると考えられる。
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Research Products
(5 results)