2005 Fiscal Year Annual Research Report
MOCVD法による強誘電体極薄膜及びナノ構造の作製とサイズ効果に関する研究
Project/Area Number |
17360144
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
清水 勝 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30154305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤沢 浩訓 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30285340)
本田 耕一郎 株式会社富士通研究所, 基盤技術研究所, 主管研究員
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Keywords | 強誘電体 / 極薄膜 / ナノ構造 / MOCVD法 / 自己集合化 / 圧電応答顕微鏡 / 相転移温度 / サイズ効果 |
Research Abstract |
誘電体薄膜のサイズ効果、とりわけ強誘電性を示す限界膜厚を調べる目的で、MOCVD法によりPbTiO_3エピタキシャル極薄膜(膜厚0.4-7.6nm)をSrRuO_3/SrTiO_3基板上に成長させた。高角度環状暗視野走査型透過電子顕微鏡観察の結果、膜厚0.8nm(2格子相当)のPbTiO_3エピタキシャル膜においても、界面や結晶性の優れた極薄膜が成長していることが確認された。圧電性及び強誘電性は走査プローブ顕微鏡を用いた圧電応答顕微鏡法及びケルビン力顕微鏡法により測定し、膜厚2.7nm(7格子)のPbTiO_3極薄膜が強誘電性を有することがこれらの手法で明らかになった。 ナノ構造のサイズ効果を調べるため、自己集合化現象を利用しMOCVD法によりPt/SrTiO_3上にPbTiO_3ナノ島構造を作製した。異なる面方位の基板上に3種類の異なった形状(ナノドット、ナノロッド、ナノプレート)のナノ構造を作ることに成功し、エピタキシャル関係を利用することで、形状制御が行えることを明らかにした。強誘電性を示すエピタキシャルナノ構造(ナノドット)の最小サイズは、高さ1.6nm、幅31.3nmであった。高さは、ほぼ4格子程度であり極薄膜の強誘電性を示す限界膜厚とほぼ等しい。また、ドメイン構造の観察からは、最小のドメインサイズは、7x10nm^2程度と非常に小さいことがわかった。 顕微ラマン分光測定からは、PbTiO_3ナノ構造の相転移温度のサイズ依存性を初めて明らかにした。サイズが小さくなるにつれて相転移温度の低下が観察され、平均幅60nm、平均長さ150nmのナノロッドでは350℃の相転移温度を示すことが初めて明らかになった。この値は、PbTiO_3薄膜の相転移温度に比べ約140℃も低い値である。
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Research Products
(2 results)