Research Abstract |
今年度は実証実験,基盤技術の詳細な評価,コンセプトの検証を行った。 実証実験 これまでに研究開発を行った結合制御モデル,動的機能ローダ,イベント指向ネットワーク機構,適応型メディアアクセス制御機構を基に実証実験を行った。具体的には,ライト,椅子,机,テレビの電源,目覚まし時計,スイッチ,温度センサ,明るさセンサ,モーションセンサ,加速度センサなどを実装した。 基盤技術の詳細な評価 デバイス連携の基盤技術であるオペレーティングシステム「PAVENET OS」をTiiyOSとハードリアルタイム性能,省資源性,低オーバヘッド,プログラムの書きやすさの観点から比較評価を行った。ハードリアルタイム処理に関しては,PAVENET OSはどのような場合でも0.01%の精度でタスクを実行できるのに対し,TinyOSは最高で0。03%,最悪で39.41%の精度での実行ができなかった。省資源性に関しては同等の性能を達成した。例えばTinyOSのサンプルプログラムであるBlinkでは,PAVENET OSのRAMサイズが63バイト,ROMサイズが1183バイト,TinyOSのRAMサイズが44バイト,ROMサイズが1428バイトであった。また,PAVENET OSは最小限の構成ではRAMサイズが29バイト,ROMサイズが490バイトで実現可能である。オーバヘッドに関してもTinyOSと同等の性能を発揮した。サンプルプログラムBlinkの時刻では,PAVENET OSが平均8。5サイクルで実行可能であるのに対し,TinyOSは19.5サイクルでの実行であった。またプログラムの開発のしやすさはPAVENET OSの方が優れている。サンプルプログラムBlinkの実装では,PAVENET OSが23行のソースコードで実装可能なのに対し,TinyOSは45行のソースコードが必要となる。 コンセプトの検証 本研究から得られた知見を基に,無線センサネットワークの研究の新しい方向性に関しての考察を行った。誕生から間もない無線センサネットワークの研究では研究をどのように進めるかも重要な課題である。本研究ではアプリケーションの対象を絞り,トップダウン的に通信プロトコルやオペレーティングシステムなどの基盤研究の開発を進めることで新しいサービスの創出のみならず,新しい基盤技術の創成を実現することが可能であることを示した。
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