Research Abstract |
初年度は,全体のアーキテクチャを設計する上で重要な要求要件の調査を行うとともに,これまで各研究分担者が行ってきた要素技術の研究開発を進めた. 要求要件の調査においては,大手海運会社,漁業関係者,あるいはセキュリティ関連会社等を招いて小規模なワークショップを開催し,各業界のニーズ調査および各研究分担者が持つシーズに関する情報提供を行った.海運会社からのインタビューでは,コンテナヤードにおける電子タグの長距離化,コンテナ位置の特定,密入国者の検知などが具体的な要求として明らかとなった.また,港に停泊中の客船への乗船管理などでもIT技術の導入が強く要求されていることが分かった.漁業関係者からのインタビューでは,従事者の高齢化に起因する安全・安心への対策,センサネットワークによる養殖の支援,あるいは船舶からの廃油による沿岸の汚染検出や騒音検出などが具体的なアプリケーションとして要求されていることが分かった.また,沿岸漁業者の船陸間無線回線については,現在は殆どの場合で携帯電話を利用していることも明らかとなり,携帯電話技術と現在の漁業無線VHF,センサネットワーク等との連携も新たなアプリケーションを切り開くテーマの候補として挙げられた. 一方,個々の技術開発においては,本テーマに広く応用できると考えているスペクトル拡散技術を用いた微弱無線の長距離化,分散型ローカライゼーション技術,あるいはセンサノードのバッテリレス化などについて重点的に進めた. 次年度は,これらの研究成果を基に,アーキテクチャ設計を引き続き進めるとともに,アプリケーションのターゲットを明確化しつつ,GPS/GNSSの統合化,タグを利用したシームレス位置特定技術,省電力形微弱無線の長距離化,高性能短距離水中通信・センサネットワーク,タグ長距離化,密漁・密入国検知センサ,水中環境計測小形センサなどの技術について順次検討を行っていきたいと考えている.
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