2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17360192
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
才脇 直樹 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (20252637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田所 諭 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (40171730)
池上 高志 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10211715)
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Keywords | 触感 / 触感ディスプレイ / 脳機能計測 / 触感のモデル化 |
Research Abstract |
我々はデニムやタオルなどの布地を撫でたときのような触感に注目し、仮想呈示を実現するための基礎研究としての感覚計測と仮想触感呈示装置の開発に取り組んできた。現在、形状や力のフィードバックについては盛んに研究されているが、布のような非剛体における繊細な材質感や触り心地といった「質的情報」を含んだ触感に関しては、質の違いを表現するために制御されるべきパラメータやそれらの相互関係について、まだ十分明らかにされているとはいいがたい。最近では、視覚や聴覚に対しては非常にリアルな仮想現実を呈示できるようになったが、人間は五感を統合的に活用しており、よりリアリティを増すためには触感の表現が必要不可欠である。例えば、触感を呈示できるようになる事でインターネットや仮想空間に触感を加えたよりリアルなバーチャルリアリティシステムの構築や、視覚障害者の利用を考慮したユニバーサルなコミュニケーションツールの提案なども可能になる。 平成18年度は特に、以下の二点について重点的に取り組んだ。 1:脳における触感認知モデルを複雑系に基づいて構築し、我々が開発した人工触感呈示アクチュエータから被験者が受ける触感をリアルタイムにGAを用いて進化学習させることで、アクチュエータから発生させる人工触感のパラメータチューニングを行った。なお、この結果に関しては研究成果の項目でも掲載した多数の関連論文(印刷中を含む)としてまとめることができる大きな成果をえたので、主としてこの部分について研究を分担した東京大学の池上は当初の目標をクリアしたことから、最終年度(平成19年度)は分担者をはずれ、次のステップの別テーマにエフォートを集中することとなった。(本人の申し出と合意による。) 2:触感を感じているときの脳機能計測について平成17年度にも取り組んだが、この際はf-MRIの中で我々の開発した人工触感呈示アクチュエータを用いても計測に支障がないことを判定できたレベルであった。これに対して、平成18年度の追実験と独自のデコーディング法による分析により、やはりf-MRIによって可視化される脳活動のデータを用いて、刺激の質的な差異を検出できる可能性が非常に高いことを示すことができたのは、この分野における先端的な成果であると思われる。また、同じ人工触感による刺激であっても、被験者が受動的(指先を動かさない)か能動的(指先を運動させる)かによって感じ方が大きく異なる可能性が予備実験でわかってきたので、この実験を行うための装置の開発にも取り組んだ。 最終年度である平成19年は以上を踏まえた実験を継続し、研究成果のまとめを行う予定である。
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Research Products
(7 results)