Research Abstract |
1.環境条件モデル作成の準備として,新潟県内にある実橋梁において,構造物周辺の局地気象,海象,飛来塩分の計測を行なった。 2.構造物への飛来塩分について,数値解析による塩分飛来現象のシミュレーションを行い1の実測値と比較した。 3.水分,塩分の移動に関する構造物の環境条件を,日,時間などの細かい時間ステップごとに与えた場合と等価な物質移動の計算結果をもたらす,簡便な環境条件の与え方について検討を開始した。 4.電気泳動試験と細孔径分布測定装置を用いて実測細孔構造と物質移動特性の関係を検討した。その結果,撥水材に分類される表面改質材であっても,きわめて微小な部分の細孔径分布には変化が現れ,物質遮蔽性が多少向上することを確認した。ただし,微小な細孔の変化は反応による構造変化ではなく,細孔壁への撥水材の吸着によるものである可能性があることを考察した。 5.通電試験により種々の表面被覆材中の拡散係数を導出した。いずれの被覆材の拡散係数も,コンクリートに比べてきわめて小さいので,その遮蔽効果が持続する限り,構造物の劣化を防ぐと考えられる。 6.表面被覆材中の細孔径分布を測定し,拡散係数と細孔構造との関係を検討した。細孔構造が緻密な被覆材のほうが拡散係数が小さいことを明らかにした。 7.表面被覆材の拡散係数はきわめて小さいので,劣化が問題になるとしたら,被覆材自身の経年劣化や損傷による物質遮蔽効果の損失がある場合であると考えた。そこで,ピンホール,剥がれ,浮きに相当する欠陥を人工的に導入した場合の平均拡散係数を実験により求めた。欠陥の程度に応じて,平均拡散係数が大きくなることが明らかとなった。
|