2006 Fiscal Year Annual Research Report
高波浪時における波群・長周期波の伝播変形とその予測手法の開発
Project/Area Number |
17360233
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
喜岡 渉 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (10135402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北野 利一 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (00284307)
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Keywords | 波群 / 不規則波 / 長周期波 / 現地観測 / 沿岸波浪 |
Research Abstract |
深海から中間水深を経て浅海へと伝播していく波群の変形特性については,主に狭帯スペクトルを持つ単一方向の波について理論的に調べられており,個々波の波形勾配が大きく非線形性の強い波群は,相対水深kh<1.36の海域ではスペクトルの広帯化とともに包絡波が扁平化することなどが明らかにされている.しかし,実際の現地データを用いて調べた研究例は少なく,ごく限られたものになっている.本研究は,波群長の数倍の伝播距離に相当する沖合数kmにわたって設置した波高計により台風通過時の水位変動・流速を観測し,相対水深kh=1.36前後の水深から浅海域における波群の伝播変形特性について調べようとするものである.2006年8月3日から10月25日までの期間に,愛知県渥美半島赤羽根港沖6km(Station-1,水深h=26m),1km(Station-2,h=13m)および0.78km(Station-3,h=11m)の3箇所に波高計を設置し水位変動と底面流速を計測した.台風接近により有義波高が3mを越える日が,8月に2回,9月と10月にそれぞれ1回ずつあった.波群の解析にあたっては,有義波周波数をfsとして0.5〜1.5fsの基本周波数帯の波成分に対してヒルベルト包絡波形を求め,その振幅の平均値を基準水位としてゼロアップクロス法により波群振幅と波群周期を定義した. 主要な結論は以下の通りである. 1.波群個々波の有義波の伝播に伴う波高変化は,有義波周期が8sより大きいとき,浅水変形・屈折変形・波高減衰から予測される波高比より小さくなるケースがあり,波の方向集中度性に加えて,波の非線形性に起因する変形特性が見られる.有義波高のピーク値付近では,平均的に見ると波群個々波の振幅の変動は小さくなり,波群包絡波はやや扁平化する. 2.長周期波の分離では,反射成分の方が入射成分よりも大きくなる時間帯が見られ,その時間帯では長周期流速が間欠的に大きくなることがあった.
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Research Products
(3 results)