Research Abstract |
1)河川地形の長期的変化特性調査 吉野川,物部川を対象として河口地形の経年変化を調べた.この中で吉野川では2004年に発生した数度の出水により,河口部ではこれまでの河床上昇傾向が緩和されたことがわかった.一方,物部川では河道内での土砂掘削が行われなくなった1980年代以降,河床変動量は少なくなり,安定的に推移しているが,河口では1996年以降,漂砂により堆積傾向が続いていることがわかった. 2)河口周辺地形と潮位変動に関する現地観測と解析 熊本県白川で2004年7月から継続的に潮位・流速・濁度・塩分の連続観測を実施しており,現在も継続中である.潮間帯上の現地観測では,潮汐変動に伴って計測器が水没と干出を繰り返すため,干出時のデータが欠測となり,その時系列は不連続データとなる.そこで,新たに潮汐位相平均手法を提案し,海水および底質輸送フラックスから波浪・潮汐成分の分離を試みた。その結果,水没干出を繰り返す潮間帯において,一潮汐の平均的な底質輸送の変動は潮汐位相平均によって説明でき,底質輸送メカニズムにおける濁度の発生要因には波浪成分,底質の輸送に関しては潮汐成分が主要な要因であることが示された.物部川河口において,河道内と海域で潮位の連続観測を行い,洪水時の砂州フラッシュ現象,河口閉塞時の水位応答特性などについて調査を行い,河口地形と潮位変動との関連を見いだした. 4)河口干潟底生動物の生息調査 吉野川をはじめ,四国全域の河口干潟を対象にして,底生動物「シオマネキ」属の生息分布調査を行い,底質や高度などの物理条件と生息密度に関する情報を整理した.
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