2006 Fiscal Year Annual Research Report
不確実性・多地域・動的環境での費用便益分析の厚生経済学的基礎に関する研究
Project/Area Number |
17360242
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森杉 壽芳 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (80026161)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 朝夫 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (80159524)
林山 泰久 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20260531)
河野 達仁 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00344713)
織田澤 利守 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (30374987)
|
Keywords | 便益 / 補償基準 / 動的 / 多地域 / 不確実 |
Research Abstract |
本研究は、不確実性、移住が可能な多地域経済下、動学下の世界に注目し、便益の定義、計測可能性、効用水準との整合性、補償準との整合性に関する見解を整理することを目的とする。本年度の成果は以下のとおりである。 1.不確実性下における便益の定義と計測式と補償基準との関係分析: 不確実性下の便益の定義としてアレー余剰を適用することを提案した。第1に、この定義は、期待効用関数とも不確実性下の補償基準とも必要十分な関係であることを示すことができた。第2に、その計測に関して、不確実性下の個人の防災行動を観察することによって便益を計測できることを示した。 2.移住が可能な多地域経済下での便益計測式の提案: (1)代替・補完財が存在するときに旅行費用法を適用しようとすると、訪問者の行動を観察しても需要曲線を発見することが困難にるという事実を示した。(2)国際観光を対象にして1回の旅で複数の観光地を訪問するモデルの構築を行った特徴は、ランカスターモデルによる観光地の魅力を消費する点であり、訪問者の便益を大きくするのは、魅力の異なる複数の観光地の開発が望ましいとの結論を得た。(3)交通整備をするとますます企業や人々が都市に集積して混雑がかえってひどくなるという現象に注目したこの現象は完全競争下では発生せず集積の経済が存在する場合のみに発生することを示し、便益としては、次善経済の状況であるので、交通改善便益(混雑悪化不便益)に加えて集積の経済の便益を計測する必要があることを示した。 3.動的環境下の地球環境経済評価: 昨年作成したカタストロフィーを導入した経済成長モデルの数値計算を行い、均衡解の性質を比較した。解の定性的な違いはなく、安定解と不安定解の複数均衡がある均衡温度は、カタストロフィーを導入したとき低めになることが判明した。 4.動的不確実性下における群衆行動モデルの開発: 避難行動を対象とし、公的情報と個人情報の2つがあるもとで避難をするか否かを他人を観察しつつ行うものとする。一般に、非常に非効率な状況が発生しやすく、公的情報に加えて日頃からリーダーを育てる必要か高いことか判明した。
|
Research Products
(22 results)