2005 Fiscal Year Annual Research Report
不確実性下におけるドライバー間の干渉を考慮した情報提供方策の評価手法に関する研究
Project/Area Number |
17360246
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 隆一 京都大学, 工学研究科, 教授 (60252467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉井 稔雄 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90262120)
菊池 輝 京都大学, 工学研究科, 助手 (00343236)
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Keywords | 不確実性 / 室内実験 / 習慣化 / 投錨と調整 / 利用可能性 |
Research Abstract |
ダイアリーアンケート調査結果を用いて,通勤者が所要時間の不確実性認知を考慮して,通勤者の出発時刻選択の重要な要因の一つであるセーフティーマージンの規定要因を明らかにするための回帰分析結果を示した.得られた分析結果により,通勤者は認知する所要時間の不確実性に基づきセーフティーマージンを設けていることを示された.しかし通勤者は必ずしも実所要時間の不確実性を正確に認知しているわけではないことも明らかになった. そこで,交通行動モデル化における完全合理性の仮定を再考し,より適切な意思決定・提供情報への反応・他者との相互影響のモデル化を目指し,不確実性下での交通行動分析の重要な要素となる認知所要時間が何に影響を受けるのかを明らかにするための室内実験を実施した. 実験にあたっては,認知所要時間分布がどのように変更されていくかという問題に対し,習慣化という現象に着目した,そして,習慣化の前後では認知所要時間分布の変更の様子が異なることを明らかにした.特に,習慣化が行われてからは認知所要時間の変更があまり行われないことから,習慣化した時点での認知所要時間分布の形成に与える要因を探るべく,分析を行った.その結果,既存研究では認知所要時間代表値は最近の経験に強く影響を受けるとされていたが,今回の室内実験より初期段階の経験が確立された認知所要時間代表値に大きく影響を与えることが示された.これは,認知心理学から措定された仮説と合致するものであり,本研究で得られた知見の一つとして挙げられる.また,習慣化後は認知所要時間分布はあまり更新されないと考えられてきた.しかし,習慣化までに確立された認知所要時間代表値をもとに認知所要時間幅を変動させることがわかった.その際,認知所要時間分布の更新は,実所要時間の不確実性を表す標準偏差に影響を受けるという特性が存在した.
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Research Products
(3 results)