2005 Fiscal Year Annual Research Report
都市内公共交通における正便益不採算問題への対応に関する研究
Project/Area Number |
17360247
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 大 京都大学, 工学研究科, 助教授 (30180251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 吉隆 京都大学, 工学研究科, 教授 (80035633)
戸田 常一 広島大学, 社会科学研究科, 教授 (20109028)
柄谷 友香 京都大学, 工学研究科, 助手 (80335223)
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Keywords | 都市内公共交通 / 社会的便益 / 採算性 |
Research Abstract |
1.正便益・不採算問題の構造分析:正便益・不採算の問題は、外部経済効果の存在や平均費用価格による運賃政策によって生じる消費者余剰の損失等によるものである。そこで、典型的ないくつかの公共交通施策について、正便益・不採算の問題が発生する要因を理論的に明らかにした。例えば、新規路線の整備の場合には、事業者に帰属しない外部経済効果が存在すること、相互直通施策の場合には、その投資を利用者に転嫁することによって生じる消費者余剰の減少がその発生の主な要因となっているなど、対応策の異なる問題構造を分析して整理した。 2.わが国における先進的事例の分析:わが国においても、正便益・不採算の構造を明確に意識したうえで意思決定された公共交通施策事例に着目し、これらの公共交通施策が実現していく過程に実際に参画しながら、これらの背景とプロセスを分析することによって、わが国における公共交通の正便益・不採算問題への取り組みが進みはじめていることを示すとともに、そこから得られる利点や課題についても整理した。 3.新しい公共交通施策の国際比較:自動車の発達した米国でのLRTなどの公共交通施策も正便益・不採算の構造となってきた。しかしながら、基本計画の策定段階における計画財務内容の公表や、財源調達に対する住民投票の実施など、市民が便益と負担を比較しながら意思決定に参画できる仕組みを構築し、合意形成につなげている。このような各国における公共交通施策の計画プロセスの整理や分析とともに、わが国の考え方と比較した。 4.公共交通施策の負担方策:正便益・不採算問題を解決するためには、事業者に発生する赤字をどのような方法で社会的に負担するかが重要な問題となる。その負担の仕組みには様々な方法が考えられるため、上記で分析した国内外の先進事例も踏まえて、負担主体を考慮しながら類型別に整理した。
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Research Products
(7 results)