2007 Fiscal Year Annual Research Report
DNAマイクロアレイを用いた環境汚染化学物質の多指標型毒性評価システムの開発
Project/Area Number |
17360250
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡部 聡 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 准教授 (10253816)
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Keywords | ヒトDNAマイクロアレイ / 遺伝子発現解析 / 毒性評価 / バイオアッセイ / 発癌性 / 重金属 |
Research Abstract |
本年度は、作用の異なる複数の発癌物質(ニトロソアミン、テトラクロロエチレン、TPA等)について長時間暴露(48時間)後の遺伝子発現解析を行い、各種発癌作用に共通もしくは特異的な遺伝子を同定することにより、DNAマイクロアレイ技術を発癌性物質評価に適用するための基礎的研究を行った。評価に用いるモデル物質として特に発癌性評価の困難な重金属を対象とし、上記の発癌物質と遺伝子発現パターンを比較することにより、重金属の発癌性評価を試みた。さらに、各種発癌性物質および重金属に共通し発現する遺伝子の中から有用性が高いと考えられる遺伝子を選定し、定量的RT-PCR解析のターゲットとすることで、迅速かつ簡便な発癌性評価法のためのマーカー遺伝子を探索した。ニトロソアミン(DNA障害性)、TPA(DNA非障害性、プロモーター)、TCE(DNA非障害性)の3物質および3種の重金属(ヒ素、カドミウム、ニッケル)暴露における遺伝子発現パターンを比較した結果、用いた重金属の主要な発癌作用は細胞増殖の促進、DNA傷害であることが明らかとなった。また、ヒ素暴露におけるこれらの特徴的な遺伝子発現パターンは、抗酸化物質の適用によって拮抗されることから、ヒ素の発癌性が主に酸化ストレスに起因することが示唆された。さらにすべての被験物質誘導遺伝子パターンの比較より、発癌性マーカーとして有用であると考えられる遺伝子PTTG1が見出され、供試したすべての発癌物質において有意に発現することが定量的RT-PCR法によって確認された。以上の結果より、DNAマイクロアレイによって、発癌メカニズムに基づくリスク評価が可能である可能性が示された、また、見出された発癌性マーカーPTTG1遺伝子は機構の異なる発癌物質の包括的なスクリーニングに有用であると考えられる。
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Research Products
(3 results)