2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17360252
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西村 修 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80208214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 和典 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30292519)
野村 宗弘 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70359537)
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Keywords | 浅海域 / 藻場 / 干潟 / 富栄養化 / モデル |
Research Abstract |
干潟堆積物において有機物が過剰に蓄積すると底質が還元化し,生物相に変化が生じる.特に懸濁態有機物は,沈降することで底質有機物の増加を招くことから,干潟における懸濁物質の輸送特性を把握することは,干潟生態系の保全を考えるうえで非常に重要である.そこで本研究では,蒲生干潟において測器を用いた定点観測を行い,懸濁物質の干潟堆積物-直上水間の輸送特性を明らかにするとともに,簡易モデルを用いて濁度の再現を試みた. 現地観測にあたり,干潟内を底質性状に応じて3分割し,ラグーン入り口から奥へ順にエリア1(砂),エリア2(砂泥),エリア3(泥)とした.堆積物-直上水間の懸濁物質輸送量と流速との関係は,エリア1,2ともに流速の小さな条件でも相当量の巻き上げが生じ,巻き上げに関する限界流速がみかけ上存在しないことが示唆された.流速の大きな条件では,巻き上げも沈降も生じないという結果を示した.このことは,流速が増加する過程で堆積物表層の巻き上げ可能な懸濁粒子が全て浮遊してしまった可能性を示唆している. 堆積物の巻き上げ,沈降に関するモデルを開発し,エリア1およびエリア2の濁度の再現計算を試みた.堆積物の巻き上げフラックスは巻き上げに関する係数,含泥率および流速の2乗に比例するとし,沈降フラックスは直上水の濁度と沈降速度に比例するとした.フラックスと流速の関係から沈降速度と巻き上げに関する係数を合理的に決定し,実測により求めた含泥率を与えて計算した結果,流速の変化に伴う巻き上げ,沈降の過程を良好に再現することができた.しかしながら干潮近くの浅い水深の状況における濁度の急増は再現することができず,今後の課題として残された.
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Research Products
(1 results)