2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17360252
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西村 修 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80208214)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 和典 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30292519)
野村 宗弘 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70359537)
|
Keywords | 浅海域 / 藻場 / 干潟 / 富栄養化 / モデル |
Research Abstract |
アレロパシー効果を評価するバイオアッセイ手法の構築を行った微細藻類としてSkeletonema costatumを用い、その継代培養に一般的に用いられるf/2培地で前培養したS. costatumは、前培養で定常期の細胞であればバイオアッセイ時の栄養条件に影響を受けず、12時間目までは最大比増殖速度で増殖することがわかった。さらに、Heterosigma akashiwoやChattonella antiquaにおいても、同様の特性を示すことが明らかになった。このような前培養方法を用いて褐藻アカモクSargassum horneriの培養液のバイオアッセイを行った結果、比増殖速度の低下が認められ、アレロパシー効果が最大比増殖速度と比増殖速度の差として速度論的に評価できることが明らかとなった。 一方、アカモクの培養液を用いてアレロパシー物質の物性について評価した結果、バイオアッセイの前処理としてFe-EDTA添加及び加熱処理(90℃、30分)を行うことによって、アレロパシー物質はアレロパシー効果を失うことが分かった。このように増殖がバイオアッセイ時の栄養条件に依存しない手法とアレロパシー効果を不活化させる前処理を組み合わせることで、アレロパシーの定量評価を可能とするバイオアッセイ手法を確立できた。開発したバイオアッセイ手法に基づき、2004年4、5、6月に宮城県松島湾のアカモク藻場内側及び藻場群落のない外洋付近の地点(藻場外側)で採水し、ろ過滅菌してアッセイした結果、いずれの時期も藻場内側海水系でS. costatumの比増殖速度が有意に低下した。さらにFe-EDTA添加及び加熱処理を施したところ、藻場外側海水ではS. costatumの比増殖速度に有意な変化はなかったが、藻場内側海水では増殖抑制効果が消失して藻場外海水系と同程度の比増殖速度となることが示された。よって比増殖速度の低下はアレロパシー効果に起因することが分かり、微細藻類の増殖に及ぼす海藻のアレロパシー効果について実環境においてその存在を証明することができた。
|
Research Products
(5 results)