2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17360252
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西村 修 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授 (80208214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 和典 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30292519)
野村 宗弘 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70359537)
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Keywords | 浅海域 / 藻場 / 干潟 / 富栄養化 / モデル |
Research Abstract |
干潟生態系に関する七北田川河口干潟での調査から,泥質干潟では陸域由来の有機物が,砂質干潟では海域由来の有機物が堆積する傾向が認められ,それらの起源を安定同位対比・脂肪酸分析から定量的に明らかにする手法を構築した.また,有機物含有率は底生生物が安定的に生息している場であっても常に変動しており,動的平衡の状態にあると考えられた.非粘着性と粘着性の底質では,有機物含有率の変動周期・幅が異なり,動的平衡をもたらす物理的機構に違いがみられた.砂の巻き上げ頻度が低下し大潮時の周期的な有機物の洗い流しが起こらない地点で,底質の粘着性発現にともない有機物含有率が非粘着性の底質よりも著しく高くなると考えられた.これらの結果に基づき,自然干潟における有機物含有率の動的平衡,および底質の巻き上げ頻度と有機物含有率の関係をそれぞれ記述する概念モデルを提案した. 藻場生態系に関する松島湾前浜干潟での調査から,環境特性としてコアマモは砂質干潟でも生育可能であることがわかった.コアマモ地上部バイオマスには明確な季節変化が確認されたが,地下部バイオマスは季節に関わらず一定であることが示された.コアマモ藻場の底質中有機物含有率や含水率は裸地と異なり,多毛類や甲殻類の個体数や種類数は藻場で裸地よりも有意に多いことが示された.また,冬季には著しい二枚貝稚貝の着底が確認され,コアマモが二枚貝付着基盤としての機能を保持していることがわかった.多毛類個体数の季節変動から,藻場では夏季から冬季にかけてコアマモによる安定かつ豊富な餌料供給が行われ,食物連鎖を通じて堆積物食者を中心とした生態系を形成していると示唆された.
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Research Products
(13 results)