Research Abstract |
採泥地点により,底泥コアの底質鉛直分布がどの程度,異なるかを明らかにすることを目的に,霞ヶ浦湖心域8地点(100m以内4地点,それらから東西南北2km離れた4地点)において,ダイバーが潜水して深さ1m程度のコアサンプルをそれぞれ1本採取した.採取したサンプルは2cm間隔でスライスし,各種容器に分けた.湿サンプルに対して,含水率,比重,強熱減量,見かけ密度を測定した.100m以内の4本のコアに関しては,過去の大雨時の見かけ密度ピークは数cm程度,ばらつくものの,物性の鉛直分布はほぼ同一となった.しかし,底質変化を解析可能な時間分解能は数年となり,霞ヶ浦におけるこの見かけ密度ピークをもとにした底質物質収支は10年程度の時間スケールで考えるべきことが明らかとなった.今後,ガンマ線スペクトルメータを用いて^<137>Cs,^<210>Pbを測定し,その鉛直分布からも底質物質収支を計算する予定である.また,近年,洪水が生じ,見かけ密度のピークが表層に存在する諏訪湖,宍道湖に対して,どの程度の時間分解能で物質収支計算が可能かどうか,検討している. また,昨年度採取した底泥サンプルに対して,リン,窒素,有機炭素濃度を測定した.また,PAHs濃度測定を開始し,過去に測定結果のある諏訪湖サンプルについて測定値を比較検討した結果,かなりよい一致を見たことから,他のサンプルの分析を開始した. 以上に加えて,貯水池における水質-底質間の物質移動をモデル化し,水質実測値を再現することを示すことから,貯水池の水質に及ぼす底質の影響を定量的に評価した.また,こうした底質のもととなる降雨時の栄養塩流出負荷に関して.特に都市不浸透域からの流出特性を明らかにするとともに,そのモデル化を行った.
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