Research Abstract |
本研究では,構造物のすべての部材の最大荷重効果を同時に再現するユニバーサルな等価静的風荷重という新しい概念を提案し,その算定手法の開発を行ってきた。平成18年度は,先ず,風洞実験による多点同時風圧データの蓄積を行うとともに,大スパン片持ち屋根を対象として,異なる3つの構造モデルを想定し,ユニバーサルな等価静的風荷重の検証を行なった。屋根フレームをFEMモデルに置換し,風洞実験により得られた変動風力を作用させ,時刻歴解析によりすべての部材の真の最大応力を求めた。それらの結果をもとに,前年度までに提案された手法を用いて,ユニバーサルな等価静的風荷重を算定した。得られたユニバーサルな等価静的風荷重により再現される荷重効果と,時刻歴解析により求めた真の最大荷重効果を比較した結果,両者は非常に高い相関関係にあることが明らかにされ,種々のケースに対して,その精度の検証がなされた。更に,平成18年度に特に検討したのは,部材の最大荷重効果の正負の組み合わせ方によっては,得られるユニバーサルな等価静的風荷重分布が不自然な分布になる問題である。ユニバーサルな等価静的風荷重の算定では,条件として与える最大荷重効果の組み合わせば自由であり,任意に定めることができ,部材数が増えるに従い最大荷重効果の組み合わせば指数関数的に増加してしまう。これに対して,荷重効果の時刻歴に対してPOD解析を行い,この荷重効果のPOD規準モードに基づいて,最大荷重効果の組み合わせを一義的に決定する方法を考案した。その結果,ユニバーサルな等価静的風荷重として自然な分布が得られることが分かった。最大荷重効果に共振成分を含むケースの取り扱い,ドーム屋根などの種々の構造形態に対するユニバーサルな等価静的風荷重分布の検討などを行った。
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