2007 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型バイオミメティック(生物模擬)建築の開発研究
Project/Area Number |
17360284
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
石川 幸雄 Mie University, 大学院・工学研究科, 教授 (60378312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宿谷 昌則 武蔵工業大学, 環境情報学部, 教授 (20179021)
田澤 真人 独立行政法人産業技術総合研究所, イノベーション推進室, 総括企画主幹 (60357423)
北野 博亮 三重大学, 大学院・工学研究科, 助教 (80293801)
宮田 弘樹 株式会社竹中工務店, 技術研究所・建設技術研究部, 研究主任 (90416628)
垣内田 洋 独立行政法人産業技術総合研究所, サステナブルマテリアル研究部門, 研究員 (40343660)
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Keywords | バイオミメティクス / エクセルギー / 汗かき建物 / 衣替え建築 / 二酸化バナジウム / サーモクロミズム / 植物導管揚水 / 形状記憶素材 |
Research Abstract |
人体・生物が持つ生理機能や自然智を建築に模擬応用した「バイオミメティック(生物模擬)建築」の実現に向けて以下の研究課題を遂行した。(1)「鳥肌・起毛機能」:温度変化に依存して作動する建築外皮部材の自律的駆動機構のシステム化を図った。(2)「衣替え建築」:1)赤外特性が温度によって変化する二酸化バナジウム薄膜系調光窓ガラスに対する日射の入射角を考慮するための試験方法を提案した。2)二酸化バナジウム薄膜系調光窓材料の観点から,非晶質シリコンとの多層膜化と,二酸化バナジウムと酸化チタンとの複合体形成による材料改質に関する研究を進め,日射透過制御性能の向上を図った。3)表面の熱特性が異なる建築外壁試験体を用いた夏季・冬季の熱性能測定を継続し,実験と解析により衣替えによる熱効果が大きいことを示した。(3)「植物の導管機能」:平膜を用いた揚水実験結果に基づき,溶質や膜の材質,浸透モジュールの形態を検討し,揚程の上昇に伴う膨圧や水量の確保のための浸透モジュールの膜面積の拡大等に対応するため,今後,スパイラル膜や中空糸膜等の膜形態を評価する必要があることを明らかにした。(4)「発汗機能」:汗かき建物の熱的効果と最適感温点に関する地域特性を予測し評価した。(5)「環境調和型バイオミメティック建築」の内部温熱環境:夏期に比較的高温の冷却面による「放射」で熱環境を調整した室と,「対流」・「除湿」で熱環境を調整した室において実現された放射温度・空気温度・相対湿度に応じて示された被験者の快適さに関する申告を分析した結果,周壁平均温度が28〜31℃の範囲では,相対湿度が高くなるほど被験者が快適とする申告割合は低くなる傾向が見られたのに対し,室内空気温度の場合では,そのような傾向は見られなかった。これにより冷放射エクセルギーの効果が夏の温熱快適性に大きな影響を持つことを明らかにした。
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