2005 Fiscal Year Annual Research Report
固相ナノチューブ成長その場観察技術の開発と触媒金属結晶面の同定
Project/Area Number |
17360318
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤田 淳一 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (10361320)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 鉄微粒子 / 電子・イオン励起反応 / 走査型透過顕微鏡 / in-situモニタリング / 固相反応 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブの合成には一般に炭化水素等を原料とした気相成長が用いられる。これに対して、我々はアモルファスカーボンのナノ構造体(固体)の中を鉄微粒子が動く事で、固相においてナノチューブ成長が起こる新しい成長様式を見いだした。フェナントレンを原材料とした鉄含有アモルファスカーボンを鉄の供給層とし、これにアモルファスカーボンピラーを連結させる。このような構造体をTEMの試料室内で局部加熱を行うと、鉄微粒子の凝集と移動が観測され、鉄微粒子の移動に伴いその移動軌跡にナノチューブが形成される。 本研究課題では、このような固相成長の成長メカニズム解明、成長制御技術の確立、さらには、鉄微粒子の固相成長時の結晶面の同定を行う事で、ナノチューブの直径とカイラリティ制御に向けた基礎的技術知見を得る事を目的としている。 今年度はSEM/STEM装置内に2台のナノマニピュレータを導入し、試料室内でのナノ構造体操作環境を整えた。またSTEM試料ステージ上でのマイクロヒータ加熱機構を開発し、またアモルファスカーボン試料への直接通電注入加熱機構を完成させ、STEMによる固相反応のリアルタイム観察が可能であることを確認した。 これらの新規開発装置を用いた研究により、 ・鉄微粒子の動きは、温度の低い方向へ動く。これは反応が発熱反応であるとを示唆する。 ・通電加熱の電流に向きによらない。つまり鉄微粒子のドライビングフォースがクーロン力やエレクトロマイグレーションによるものではない。 などの知見が得られ国際会議で公表した。さらに、新規の固相成長様式としてガリウムによる瞬間的な触媒反応を発見し論文出版をおこなった。集束イオンビームによるビーム励起反応を用いて合成したナノ構造体は内部にGaを含有する。このGa含有構造体に対して瞬間的な通電加熱を行うと、Gaの凝集と移動が瞬間的に誘導され、Gaの移動に伴い多層ナノチューブの生成が起こることを見いだした。
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Research Products
(2 results)